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アナベルは自室に戻り、ライオネルにもらった星空のドレスに着替えた。
「アクセサリーはどうされますか?」
支度はベルタを中心に王宮のスタッフが手伝ってくれる。
「そうですね……こちらを」
アクセサリーは先程、国王夫妻に頂いた物をつけることにした。
「アナベル? 入っていいか?」
「どうぞ」
(──なにその服……格好いい!)
アナベルはライオネルの見慣れない姿に見とれてしまった。
軍人でもあるライオネルは、暗い紺色に金糸の刺繍が施された軍の夜会服を着ていた。
いつも軽く流している前髪は綺麗にまとめ上げられ、凛々しい目元がハッキリと見える。
普段とは違う雰囲気のライオネルに、アナベルは胸をときめかせた。
(この人がわたしの旦那様……!)
「殿下、もう少しで終わりますので、かけてお待ちください」
ベルタがライオネルにソファを勧めた。
「あぁ」
ソファの近くにはベルタが連れてきた赤ちゃんがいる。ベルタの姉の赤ちゃんで、舞踏会にスタッフとして出る姉の代わりに、ベルタが面倒を見ていた。
赤ちゃんはクーハンで大人しくしているようだ。「あ」「うー」とご機嫌な声が聞こえる。
「可愛いでしょ?」
「ああ」
アナベルは鏡越しにライオネルに話しかけた。
ライオネルはバタバタ手足を動かす赤ちゃんに手を伸ばして、あやしているようだった。
(ん?)
ライオネルが静かに微笑んでいる。
(赤ちゃんがライオネルの指を握っている……!)
微笑ましい光景にアナベルの気持ちが和んだ。
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