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アナベルと動物たち
アナベルの背中に意地悪な義姉の蹴りが入る。
雨上がりのまだぬかるんだ芝生の上に倒れ込むアナベル。顔や服は泥まみれになってしまった。
「あはは! 泥を被って、まるでシンデレラね。王子様は来ないけど!」
アナベルが身に纏うのは、繕いだらけ、シミだらけのお仕着せ。毎日の家事で薄汚れ、おまけに泥を被ったときた。
(やりやがったな……!)
近くの木を仰ぎ見ると、そこには数匹の鳩が止まっている。
(やれ!!)
アナベルが顎で鳩に合図をすると意地悪な義姉たちの周りにフンが落ちてきた。
「きゃぁぁ! 何これ! 何でピンポイントで何回も落ちてくるの!」
「あっち行って!」
義姉達は鳩から逃げようとするが、鳩は執拗に彼女らを追いまわす。
(ふん! クソがっ!!)
フンなだけに!
アナベルは立ち上がり、鳩たちにグッジョブ! と親指を立てた。
それから、服についた泥を払い、さっきまで義姉たちがお茶をしていたテーブルから、焼きたてのクッキーをつまんで口に入れ、鳩たちに残りを分けてやるとその場を去った。
(アナベル様をなめんなよ!)
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