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「なのに! なぜあなたのところに!? おまけにあなたは呪いを解いて、ライオネルもあなたを選んだ。なぜ……」
「それは……分かりませんが、ねずみのライオネル殿下は可愛かったですよ。嫌われ者のねずみだなんてとんでもない! ペットのように可愛くて、しかもねずみなのに頼りになって格好よくて、それで……ん?」
超お嬢がアナベルを睨み、震えている。
(え? 何か癪に障った?)
「そこはわたくしも誤算だったわ……」
超お嬢は小さくぽつりと漏らし、悲しそうにうつ向いてしまった。
「……今、お父様が陛下とお話ししているわ。ライオネルとの婚約破棄を白紙に戻すようにってね」
顔を上げた超お嬢が勝ち誇ったように言った。
「えっ!?」
「明日の舞踏会で発表されるわ。わたくしがライオネルのお妃様になるとね。だからあなたは、傷つく前にお帰りなさいな。これはわたくしからの慈悲よ」
「──嫌です!」
(えっ! あっ! なんで言った!?)
アナベルは止まらなかった。超お嬢への対抗心からか、ライオネルを絶対に取られたくないと思った。
「殿下はおっしゃっていました。迷惑をかけられてもいいって! ライオネル殿下を信じます! だから居座ります! ライオネル殿下の奥さんには、わたしがなります! 」
(うおー! 言っちゃったよ!! 宣言してしまったぁぁぁ! でも、絶対にライオネルはわたしを選ぶ!)
アナベルは強気で超お嬢を睨んだ。
超お嬢は、そんなアナベルを鼻で笑った。
「あなた、大学も行ってないんでしょ? 歴代の王妃様はみんな行ってるわ。無理よ」
「い、行く! 行くから! 見学にも行った! ライオネル殿下の奥さんになるためなら行く!」
(だったら行ってやる!)
「なっ! 帰りなさいよ! 身を引きなさい!」
怒った超お嬢は立ち上がり、アナベルの胸ぐらを両手でつかむ。
「絶対やだ! 帰らない! それより早く放して!」
アナベルは胸ぐらをつかまれている手を強く握った。が、放してくれない。
「生意気なのよ! 田舎者のくせに!」
超お嬢は、アナベルの胸ぐらをつかんでいる手を片方はずし、その手でアナベルの髪を引っ張った。
「い、田舎者関係ない! 痛い! 放して!」
「帰りなさいよ!」
「やだ! 絶対やだ!」
「この──っ!」
超お嬢がアナベルの頬をぶった──。
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