アナベルとオフィーリア

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「……痛っ!」 (やりやがったな……!)  アナベルはやり返そうとした。 (──だめ! そんなことはしてはいけない。叩いてはダメっ! 変わるのよ! ライオネルの奥さんになりたいのなら、がさつで乱暴な自分は変わらなければ!)  ライオネルに迷惑をかけないよう、立派な淑女になれるよう、何よりライオネルの奥さんになれるよう、暴力での反撃は我慢した。 (……っ!)  アナベルは震える拳を握りしめて、超お嬢を見やった。 (今、手をあげたら超お嬢と同類になる。ライオネルにふさわしくなるのよ、アナベル──!) 「何よ、その目は! わたくしが憐れとでも!?」  超お嬢が、アナベルを叩こうと再び手を振りかざした。 (──!)  アナベルは咄嗟に目を閉じた──。   「やめろ! お前に勝ち目はない!」  突然、見知らぬ……いや、一度会ったことのある男性が入ってきた。  男性の後ろには、国王夫妻とライオネルがいる。  一同は超お嬢を憐れむような目で見ていた。 「お父様……」  超お嬢にお父様と呼ばれたその男性は、以前、ホテルのラウンジで助けた、心臓発作を起こした男性だった。
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