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ため息をついた超お嬢の父親は、超お嬢の手を引っ張り、その場に立たせた。
「お前は遅かったのだ。ライオネル殿下が謝罪に訪れたその時に、もっと素直になっていれば、もしかしたら……」
「お父様……」
「諦めろ」
父親は首を振り、アナベルに向き直った。
「アナベル殿、謝罪には後ほど伺います。申し訳ございませんでした」
父親はアナベルに深々と頭を下げると、泣きじゃくる娘を連れて部屋を出ていった。
「アナベルど……」
「立派だったわ! アナベルちゃん」
何か言いかけた国王陛下を押し退けて、王妃殿下が真っ先にアナベルの元へ駆け寄ってきた。
「わたくし、感動したわ! ライオネルを信じるって……! 素敵ね」
(え!? 何で知ってるの?)
「アナベルど……」
「アナベル! 俺の妻になる決心がついたのか!? そうなのか!?」
国王陛下を押し退けたライオネルが駆け寄ってきた。
二人がアナベルの周りで騒いでいる。
(いやいやいや、この家族はいつから聞いていたの?)
国王陛下はアナベルに話しかけるのを諦め、去っていった。その背中が寂しそうだった。
(……夕食の時にでも伺おう)
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