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アナベルの決意
アナベルは、汚れた仕事着を着替えて食堂へ向かった。
(なるべく国王陛下と話をしよう)
先程の国王陛下が気の毒すぎた。
「アナベル殿、先ほどは災難だったな」
「はい。でも、オフィーリア様のお父様が謝って下ったので、気分はすっきりしています」
「そうか。あなたがライオネルの結婚相手で正直、助かった」
国王陛下が笑った。
「あの男を敵に回したくはなかったからな。オフィーリア嬢を婚約者に戻すようにと言われて、頭が痛かったのだ。ライオネルの気持ちを思うそれは憚られたからな。一度、奴を助けた事があるのだろう? それを口実に上手く断る事ができた。あの男は、決して悪い男ではない。恩義は返すと言っていた」
「そうだったのですか……」
ライオネルの家族は皆ほっとしたように笑った。
「オフィーリアさんには可哀想な事をしたけれど、素直になれなかったのがいけなかったのね。ライオネルも悪かったのだけれど、素直になれない心が、すれ違いを生んでしまったのでしょうね……」
王妃殿下はライオネルを見ながら言った。ライオネルは困ったように笑った。
(素直になれない心がすれ違いを生む──?)
──素直に……。
超お嬢は素直になれなかったからライオネルを失ったの?
……確かに、そういこともあるよね……?
わたし、わたしは……? そうなってもいいの?
「その点、アナベルちゃんは素直だもね」
「いえ、そんなことは……」
ライオネルに負い目のあるアナベルは、ライオネルをチラリと見やった。やつはニヤニヤと笑っている。
「……」
「明日が楽しみね! 着飾ったアナベルちゃん、綺麗でしょうね」
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