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アナベルはいつもの時間より早く寝室に入った。ライオネルはまだいなかった。隣の私室にもいないようだ。
(明日が舞踏会だしなぁ……。忙しいのかも)
舞踏会について、妃に選ばれたかった女性たちから不満が出てたそうだが、そもそも舞踏会は男女の出会いの場でもあり、開催を望む声の方が多かったので、中止にはせず予定通り開かれることになったという。
(はぁ……わたし、王宮でやっていけるかな)
アナベルはベッドの上に転がった。ライオネルの事は大好きで、そばにいたいけれど、妃になる事を考えるとまだ戸惑ってしまう。
(今みたいな自由もなくなるよね……)
「でも超お嬢にライオネルの奥さんになる! って言っちゃったしなぁ。実際、なりたいしなぁ……」
(はぁ……静かだなぁ。素直になる、か……)
薄暗い部屋には、暖炉の火がパチパチと燃える音だけが響いていた──。
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