アナベルと動物たち

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 その日の夜、アナベルは夕食の給仕のため、義家族の後ろに立っていた。使用人として待機し、用を言い付けられたらすぐに対応しなければならない。 「まったく、あの子、なんであんなに健康的なのかしら? 出来そこないだから私たちの残飯しか与えていないのに」  一番の上の義姉、クロリンダである。背が高く痩せている。目が細く、顔も細長い。声が高くうるさい。二十五歳。 「木の根っこやゲテモノでも食べてるんじゃない? あはは!」  クロリンダの妹、ティスベである。目は大きいが、体も態度も大きい。座っている椅子が今にも壊れそうだ。声も大きくうるさい。二十四歳。    馬鹿の相手をするのは面倒なので、アナベルは聞こえていない振りをして、遠くを眺めていた。  窓の外には梟と熊が待機している。何かあれば奴らを投入する算段だ。 「おい、アナベル、ワインを持ってこい」 「はい。只今」  マニフィコだ。いつも気難しい顔をしていて、気に入らない事があると鋭い目付きで相手を威圧する。背が高く、上から睨まれた相手は恐怖で縮こまってしまう。暴力的で、アナベルやアナベルの実母に暴力をふるい、マニフィコの暴力に悩んだ母は、精神的に病んでしまい亡くなってしまった。  おまけに、アナベルを手篭めにしようと襲ってきたこともある。その時は、熊で返り討ちにしてやったが。  とにかく奴はアナベルの宿敵だった。
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