140人が本棚に入れています
本棚に追加
アナベルとねずみ
猿が調理した料理を噛みしめ、アナベルが幸せに浸っていると、どこかでガラスが割れる音がした。
「何事!?」
「すぐに確認して参ります」
さる男が部屋を出ていった。
さる男はすぐに戻ってきた。できる猿、それがさる男。
「アナベルさん! ねずみを咥えた鷹がホールの窓を割って侵入してきました。どうしますか?」
「鷹!? 手下に欲しい! すぐに向かう」
アナベルはランプを手にホールへと走った。
是非とも鷹を手下にしたい──。
アナベルがホールに到着すると、割れたガラス窓の周辺に、手下の動物達が集まっていた。夜勤の猿に熊、梟などだ。
このホールは別邸の一階にあり、百人を収容できる広さで、正面にはグランドピアノが置いてある。鷹は後方の窓を突き破り入ってきたようだ。
ホール内の壁付けランプは灯っておらず、暗かったため、アナベルは持ってきたランプを鷹にかざした。
「うわっ! この鷹、ヤバくない!?」
たくさんの動物に囲まれているにも関わらず、雄々しい顔をして身動きひとつしない。
「普通の鷹じゃないオーラを感じる。お? 何この足輪。高そう……」
ピッカピカの金色の足輪だ。獅子の紋章が刻まれているが、どういった紋章なのかは分からない。
鷹の足輪をよく見ようと目を凝らしていると、鷹は咥えていたねずみを下ろし、自分からアナベルに近づいてきた。
「おい、女! お前がアナベルか!?」
「そうだけど?」
「頼む! 我が主を助けてくれ! お前は動物の病気や怪我を治すと仲間に聞いた」
「我が主?」
鷹は羽を広げてねずみを指した。
最初のコメントを投稿しよう!