アナベルとねずみ

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アナベルとねずみ

 猿が調理した料理を噛みしめ、アナベルが幸せに浸っていると、どこかでガラスが割れる音がした。  「何事!?」 「すぐに確認して参ります」  さる男が部屋を出ていった。  さる男はすぐに戻ってきた。できる猿、それがさる男。 「アナベルさん! ねずみを咥えた鷹がホールの窓を割って侵入してきました。どうしますか?」  「鷹!? 手下に欲しい! すぐに向かう」  アナベルはランプを手にホールへと走った。  是非とも鷹を手下にしたい──。  アナベルがホールに到着すると、割れたガラス窓の周辺に、手下の動物達が集まっていた。夜勤の猿に熊、梟などだ。    このホールは別邸の一階にあり、百人を収容できる広さで、正面にはグランドピアノが置いてある。鷹は後方の窓を突き破り入ってきたようだ。  ホール内の壁付けランプは灯っておらず、暗かったため、アナベルは持ってきたランプを鷹にかざした。 「うわっ! この鷹、ヤバくない!?」  たくさんの動物に囲まれているにも関わらず、雄々しい顔をして身動きひとつしない。 「普通の鷹じゃないオーラを感じる。お? 何この足輪。高そう……」  ピッカピカの金色の足輪だ。獅子の紋章が刻まれているが、どういった紋章なのかは分からない。  鷹の足輪をよく見ようと目を凝らしていると、鷹は咥えていたねずみを下ろし、自分からアナベルに近づいてきた。 「おい、女! お前がアナベルか!?」 「そうだけど?」 「頼む! 我が主を助けてくれ! お前は動物の病気や怪我を治すと仲間に聞いた」 「我が主?」  鷹は羽を広げてねずみを指した。
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