プロローグ

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さて、今のうちに色々諸々の説明を済ませておこうか。 まぁこちらもお察しの通りだが俺は本当にオネエな訳ではない。決して男が好きな訳ではないし、ましてや抱いたことなど1度もない。至って普通、ノーマルに女の子が好きだ。 つまりさっきのは演技って訳! どう?結構俺演技のセンスあるんじゃない?? ……さっさと説明してけって?うるせーこんな事実真面目に説明してられっか! …とまぁ冗談はさておき、何で俺はオネエ様を演じてるかっていうと、こうでもしてないと俺の貞操が危ないからだ。 何故か……何故か俺は男に尻を狙われる…… 中学は共学だったけど男からの告白は数知れず、ついには襲われかけたことすらある。 ふう……もう一度言うな?俺、男。 その頃はこんなキャラじゃ無かった訳だから狙いに狙われて、しかも女の子には超嫌われた。青春なんかあったもんじゃない。 だから高校では女の子に嫌われないようにってオネエを演じることを決心した俺だが……聡明な君達は気づいたことだろう。ここ、男子校。 女子居ねぇじゃん!って思うだろ?居ないんだけどさ、ここは男子校の中でもホモやバイが八割を占めるイカれた学校なんだよね。 つまり尻を狙ってくる男共がわんさかいる訳で、まぁ結局オネエを演じる決意は続行。 さっきみたいな可愛いチワワちゃんとかチャラチャラした男とか?一応考えてはみたんだけど、まず俺の顔って美人なんだよね。愛嬌があるとかそんなんじゃなくて中性的な美。でも中学でサッカーとか合気道してたから身長は高いし筋肉もまぁ人並みくらいはある。 だから可愛い系とか男っぽいタイプのイケメンは合わないし、まずそういうのは演じるのに難しいし結構嫌われることが多い。 こら、そこナルシストとか自意識過剰とか言うな!一般的な感性は持ってるつもりだしここまで追いかけ回されてたら自覚するだろう普通。 まぁオネエは抱く側ってイメージ強いしイケメン達にとってはウザい存在だろうし丁度いい。 2年間かけてこの学校の女子ポジであるチワワちゃん達とも友好を築いてきた。 あの子達の感性はよく分からないけど慕われるのに悪い気はしないし今のところ平和に過ごしている。 さて、こんだけ喋ってたら流石に時間は過ぎていたみたい。いつの間にか担任の霧崎先生が教壇に立って連絡事項を話している。 「し、志希様!プリントです!!お受け取りください!!」 「あらぁ、どうもありがとう。ねぇ、悪いんだけど先生が何を話してたのか教えてくれるかしら?」 やばい、話聞いてなかったせいで先生が何の話をしててプリントが配られたのか分からない。 後ろにプリントを回しつつ、ついでに前のチワワに聞いてみる。 まだ先生なんか言ってるっぽいから少し顔を近づけて小声で問いかけた。 「ひっ…あぁぁぁぁぁもう僕死んでもいい…」 ………前の子が顔真っ赤にして倒れてしまった。 近くの席のチワワ達が彼を介抱してくれている。とりあえず俺が何かすると悪化しそうなのは分かる。ここは彼らに任せて大人しくしておこう。 「おい橘………これもしかしなくてもお前のせいだよな?」 「やだぁセンセ♡今日もいいオトコねぇ。まぁ確かにこの子はアタシのせいだから悪いことしちゃったわね。後で謝っておくわよぅ」 「あ、あぁ………うん、ちゃんと後で謝っておけよ……」 「はぁい」 霧崎先生は少し顔を顰めつつも異論はないようでそのまま教室を出る。話はもう終わったみたいだ。しまった、クラスメイトを失神させた上結局何の話してたのか分からねぇわ。
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