崩れ出す日常

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「はぁぁぁぁ……つか、れた……」 4限終了まであと10分 約4時間ほぼぶっ続けで人を入れ続けた為流石に体力と気力に限界が来ていた 爆発寸前の子もいるし会話の選択肢が複雑な子もいるから大分疲れた 自分の為にいつもより熱めに紅茶を淹れゆっくりと飲む 熱い紅茶がじんわりと胃に下りてくる感じにほっと息をついた やはり雅楽代ちゃんのおすすめは美味い、もう一口…… 「志希様」 「んッ!?!?あ"っっつい!!」 「!?志希様!?も、申し訳ございません!!」 後ろから急に声を掛けられ、驚いた勢いで紅茶で火傷してしまった 声の主が酷く焦ったように駆け寄ってくる 「佐久間ちゃん…?」 「あぁ志希様!!いきなりお声掛けしてしまい申し訳ございません!!舌を火傷なさいましたか…!?」 「少しひりひりする程度よ……大丈夫」 舌先がひりひりと熱い 冷まそうと舌を出すと空気に触れ、少し熱感が減ったように感じる 口の中の痛みから意識が逸れると途端に寒さを感じ、ふる、と震えた 驚いた拍子に思い切り服に零してしまった 制服のお陰で大して熱くなかったものの逆に服が濡れてしまって寒い 「せ、制服が濡れて……大変申し訳ございません!!」 「大丈夫よぉ、紅茶くらい洗濯すれば大丈夫だし。でもそうねぇ、流石にこれを着ている訳にもいかないわね…」 「私の制服を……!」 「…有難いんだけど多分サイズが合わないわね…、幸いワイシャツは無事だからこれでいいわ」 そう言って濡れてしまったブレザーやベストを脱いでいく 同じく紅茶が掛かったネクタイも解き、シャツ1枚と大分ラフな格好になる 少し肌寒いが風邪を引くほどでもないし空調設備の整っている校舎内なら問題ない 「あ、それよりここに来た用事は?」 ふと佐久間に目を向けると真っ赤な顔で口をパクパクさせ何やら放心状態だ そんなにじっと見られると何だかそわそわしてくる 再度名前を呼ぶとようやく意識が戻ってきたようだった 「えっ……と、よう、じ………は、はい、委員長に急ぎご確認頂きたい書類が…」 相当動揺しているのか書類をばらけさせてしまったり落としたりといつもの優秀な佐久間らしくない もしかしたら火傷や服を濡らしてしまったことをまだ気にしているのかもしれない 確かにこっちとしてはそこまでではないが、まだ肌寒いこの時期にシャツ1枚と言うのも見ている側の方が寒く感じてしまうのかも 悪気があった訳でもない完全な事故だし、何か気を紛らわせられるものは………あ、そうだ 「ん、確認したわ。このまま風紀に提出してもらってもいいかしら?」 「はい…」 「……それと、佐久間ちゃん。これ良かったら」 「?…これは…」 「クッキー、お口に合うか分からないけれど」 「も、もしかして志希様の、て、手作り……ッ」 「ふふ、皆同じ反応ねぇ。貰ってくれるかしら?」 「い、頂きます!!!」 さっきまでの調子は何処へやら、途端に目を輝かせて喜んでくれる 良かった、やはり何だかんだと可愛がっている後輩が喜んでくれるとこちらも嬉しい 「あぁ食べるのが勿体ない…っ!でも手作り……大切に、味わって頂きます!」 「えぇ、早めに食べて頂戴ね。……さて、書類の確認も終わったことだし、行きましょうか」 「え、どちらへ?」 「あら、気づかなかった?さっきチャイムが鳴ってもうお昼よ?アタシ約束してるから行かなきゃ。ここも閉めちゃうから…」 「待ってください志希様、その格好で外に出るおつもりですか?」 立ち上がりドアに向かうところを佐久間に止められる 引きつった顔で恐る恐るとそう聞かれれば何か不味いのかと不安になってしまう 「え、えぇ……だめかしら?」 「何か……何か羽織るものは……」 「ジャケットは濡れちゃったし流石にこの教室に服は無いし……このままでも別に大丈夫よ?大して寒くないわ」 「いえそういう問題では………私のは……入りませんね…志希様が細いとはいえ流石に…」 「んー…そうねぇ、どちらにしても大牙のところに行くから…大牙に借りるのはどうかしら?」 どうやら佐久間が納得するまでこの部屋から出して貰えなさそうだ とりあえず妥協案として大牙に借りることを出してみたが一層眉間に皺を寄せられてしまった しかし現状どうしようもない為渋々といった様子で最終的に頷いてくれた 「……分かりました。ですが、黒河様のところまでは私が御一緒致します」 「…えぇ、お願いするわ」 いや、流石に別にいいよって言えない雰囲気だった まぁ移動するだけなら大した時間にもならないだろうし佐久間もすぐに自分のクラスに帰れるだろう あれ、そういえば大牙と晴人は教室にいるんだっけ? 結局どこで食べるか決めていなかったな、携帯を取り出しLIMEを確認すると晴人から1件メッセージが来ていた どうやら今日も食堂でご飯を食べるらしい 確かに朝寝坊して弁当用意出来なかったから食堂に行くのが無難か だけど昨日の今日で食堂はまた災難が待っているのではないかと思ってしまう まぁ流石に今日はいないか……晴人も食堂イベント後は生徒会室や教室でご飯を食べるのが多いって言ってたし… 多分佐久間は滅多に食堂に行かない 佐久間もキャーキャー言われる側のイケメンだから自ら視線を浴びにいくことになる食堂は苦手だと思う もし嫌なら申し訳ないし行先を佐久間に伝えて同行は構わないと伝えたが 「いえ、寧ろ絶対に、何が何でも行きます。食堂に志希様おひとりで行かせるなど……」 と寧ろ絶対同行すると言われてしまった とりあえず大牙達を待たせるのも悪いし、佐久間を連れて早速待ち合わせ場所の食堂に向かうことにした
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