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うん、仕方ない。救世主の元に向かおう。
先生が出ていった為前の席の彼らに軽くお礼を言って立ち上がり、彼の元に向かう。
「お姉様っ!おはようございます!黒狼様に御用ですよね!この席をお使いくださいっ」
「まぁ、真稀ちゃんおはよう。有難く席を借りるわね。あ、私の席使ってくれていいわよ」
「きゃあっ!嬉しいです!お姉様のお席、しばらくお借りしますねぇ!」
うん、可愛い。いやこれは可愛いだろ。
俺の事を特段お姉様と呼び慕ってくれるのは篠原 真稀、俺の癒し。
ぺこりと会釈して俺の席近くのチワワとお喋りをしに行く真稀ちゃん、超可愛い。男だけど。
意外とガタイのいいゴリラ達とも仲が良いようでAクラスのチワワ達のトップを努めている。
「…んで、何の用だよオネェ様。」
「あらぁ、黒狼様はご機嫌ななめかしら?出直した方がよろしい?それとも…周りに人がいるから照れてるのかしら?」
有難く真稀ちゃんの席を借りると向かいの男の茶化すような声が聞こえる。まぁ他の人にはいつも通りの不機嫌な声に聞こえるだろうからそれを利用して人払いしておく。周りに意識して流し目を向けるとクラスの半分くらい消えた気がする。……皆どこに行ってんだろな、隣のクラスにでも避難してるんだろうか。
「さて、おはよう大牙。今日はえらくご機嫌じゃない。」
「あぁ、おはよう志希。今日はここにお前がいるからな」
俺の救世主こと黒河大牙がチワワ達が聞いてたら卒倒するレベルのことを言う。…まぁ皆が思っているような意味じゃないんだけど。
大牙は中学からの友達で俺のキャラのことをご存知の存在。家柄も顔もめちゃくちゃ良いのにAクラスなのはいつも怒ってるような不機嫌そうな顔と態度のせいだろうな。他校からもよく喧嘩ふっかけられてるし。
『黒狼様』って言うのはそんな大牙のあだ名みたいなもので割と学園の有名人には名付けられてる。
役職持ちだったりイケメンだったり、とにかく「名前を呼ぶのもおこがましい」
という声で付けられるものだ。大牙の場合イケメンに加えて近寄り難くて怖いせいだろうけど。実際はそんなことないんだけどまぁ皆分からないだろうなぁ…
まぁそのお陰でクラスに素を出せる友達がいる訳だし、気にしてないみたいだからいいけど。でも友達は少ないから数少ない友達の俺と話せるのが嬉しいと言ってくれる。
「で?用があって来たんだろ?何だ?」
「ぼーっとしててさっきの先生の話聞いてなかったんだよ。何か言ってた?」
「あー…放課後に六委員会の招集があるってよ。ほら、プリント配られただろ?新歓の日にちが決まったって。多分その事だろ。」
「マジか、超重要じゃん〜。ありがと大牙、助かった。」
「ん、そろそろ授業だろ。お前移動なんだからはやく行け。」
「うわあと2分じゃん!?じゃあ大牙、また後で!」
授業開始まであと2分。
この学校は金持ち校だけあって校舎がバカ広い。しかも向かう教室まで300mはある。
他の生徒はもう向かっているようでガチで誰もいない。
うん、全力疾走したわ。オネエの出来る範囲で。俺動けるオネエだから、いやオネエではないんだけど………
まぁとりあえず、授業は間に合った。
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