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全員何とか落ち着きを取り戻し一先ず食事を済ませることにした
俺は大好きな坦々麺含め辛いものを禁じられたから反対に甘いものでも食べようかとパンケーキを選んだ
別に辛いものくらい食べれるのに……
大牙や晴人も注文を済ませたようで暫し待つことになった
「そういえば昨日の今日でここにいて大丈夫なの?」
「ああ、今日は多分生徒会室とか教室とかで食べるはずですぞー、昨日食堂イベは回収したし」
「サラッと候補に生徒会室を含むのやめてくれないかしら」
「いや事実ですしおすし?まぁー今日は来ないでしょ」
と、晴人が笑った途端食堂の扉の方から歓声……いや、悲鳴が聞こえる
まさか、と思いチラと盗み見るとまさかまさかの生徒会と転校生御一行様だった
「昨日は大和に怒られちゃったからな!!リベンジだ!!行こう!昴、羽月、風月!」
「待ってよ〜光!そんなに急がなくてもご飯は逃げないよー?」
「あ、光!ここの席空いてるよぉ!早く座ろ!」
「あは、3人とも元気ぃ〜、光クンは俺の隣座りなよぉ」
いや相変わらず転校生の声爆音過ぎるだろ
ここまで聞こえてくる……って待って
転校生だけじゃなくて生徒会の声も聞こえるってことは……
わぁぁぁぁぁ近い近い近い!?
いや別にそんなに近くはないけど少し張った声なら届くくらいの位置に座りやがった
見てみろ流石の晴人も巻き込まれそうな気配を察知して口を噤んでるぞ!?
あ、手で口抑えてる、めっちゃ妄想やら何やら語るの我慢してる
いいぞそのまま我慢しとけ
さて、現実逃避もこのくらいにして……最近現実逃避多いなぁ………
とか言ってる場合じゃなくて、真面目にどうしよう
流石に向こうも向こうの世界に入ってるだろうから迂闊に動かない限り大丈夫…だと思うけど普通に生きた心地しない
しかもよりによって生徒会メンバーが俺のことを特に気に入らないらしい会計と双子だ
エンカウントするとかマジで勘弁して欲しい
俺と大牙は彼らに背を向けて座ってるし視界に入らないからいいけど……
正直、生粋の腐の民である晴人が王道を目の前にして最後まで耐えられる気がしない
地獄のような空気が3人の間に流れる中、無情にも頼んだ食事が届き、いつまでも息を殺して止まっている訳にはいかなくなる
さっきまでメニューで美味しそうに思えたパンケーキも今では味が分からない
カチャ…カチャ、とカトラリーの微かな音だけが発せられ誰もが無言
だからこそ大声で話している一行の声が嫌でも耳に入ってしまう
「俺昨日食べ損ねちゃったからな!!オムライス!!!」
「光、オムライス好きなの〜?」
「「僕達も好きー!」」
「オムライスかぁ、ここのは美味しいよぉ」
「そうなのか昴!楽しみだな!!」
「あは、光クンご飯粒ついてるよ〜、可愛いね」
「んむっ、ありがとう昴!」
「もぉー!すーくんばっかずーるーいー!」
「僕達とも遊んでよー!光!」
「おー!いいぞ!風月、羽月!」
何かすっごいイチャついてるーーー
自分達の世界に入ってて気づかれることは無さそうだけど、また親衛隊が荒れそうな気がして胃が痛い
ていうかそんなことより……
「………アンタ、大丈夫?」
「だい、じょーぶ……ちょっと発作が出ただけ……!」
「…鼻血出てるけど」
「モーマンタイだ…」
「そう…」
晴人がガン見しながら鼻血をボタボタ出してる
一応小声で大丈夫か聞いたが、一応、大丈夫らしい
声は抑えているし見えている訳では無さそうだけど……
既に食事を食べ終わり、今はドリンク片手にアイツらが帰るのを待っている
戻るには彼らの横や近くを通らなければならず、動くに動けない
とりあえず嵐が去るまで大人しく……
「ッ僕!!我慢出来ない!!!」
突如食堂に悲痛な叫びが響く
思わず顔を向けると顔を見た事がある……
そう、会計の親衛隊の1人が泣きそうな顔で崩れ落ちていた
これは不味い、と行動に移す前に彼の感情が爆発してしまう
「お前なんかが!!僕達はずっと陰で昴様を……なのに何でお前が隣に………!しかも昴様だけじゃなく他の皆様まで……ッ」
キッと転校生を睨みつけ目に涙を浮かべながら叫ぶ
彼の友達が必死に彼を落ち着かせているが効果が見られない
「お前…!昴達が言ってた親衛隊だろ!!昴達はお前達のせいで迷惑してるんだぞ!!!」
「アンタに何が分かるんだよ!!」
「ねぇ君ぃ?俺の親衛隊だっけ?光クンの言う通り、正直君達鬱陶しいんだよねぇ。俺の為とか陰ながらとか……君こそ俺や光クンに近づかないでよ」
「す、ばる……さま………うぅ…」
親衛隊の子の目から涙が溢れ落ちる
その姿を見た時、俺は咄嗟に立ち上がっていた
「ちょ、橘氏…!?」
「2人とも、後はよろしくね」
「まさか……ちょ、まっ…!」
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