王道転校生

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「「きゃあああぁぁぁぁっっ」」 「黒狼様ぁぁぁぁぁっ!!抱いてぇぇぇ!」 「黒河様ぁぁぁ!こっち見てぇぇぇ!!!」 「お姉様っ!!今日も美しいですぅぅ!!」 「志希様ぁーーー!抱いてぇ!!」 「うぅっ……お姉様と黒狼様が一緒に…ッ」 うん、聞こえない聞こえない 抱いてやら何やら聞こえる気がするけど幻聴だな。俺疲れてるんだわー 「相変わらず2人の声援は凄いですなぁ〜、あ、ほらあそこのチワワが大牙氏を見て倒れましたぞ」 「いや、俺より志希だろ。あいつが手振った先全員腰抜かしてるぜ」 「はいはい、騒動が始まる前に席取っときましょ。どの当たりがいいかしら晴人ちゃん。」 「うーーむ……あまり近づきすぎると2人の顔面偏差値だと確実に絡まれますからなぁ、扉に近い方が案外バレないのでは??」 確かに扉の近くだと生徒会や転校生の視界に入りづらいだろう。チワワちゃん達に紛れることも出来るし。 まぁそれが1番の問題なのだが。、 「あの歓声間近で聞くのか……?」 そう、入口に近ければ近いほど生徒会のお出ましに沸く人数が多い。親衛隊は特に扉付近に待機している為耳栓も最早使い物にならないだろう。 「そうねぇ……晴人ちゃんには悪いけど2階席に行きましょう。」 「お、その手があった!寧ろ大歓迎ですぞ!!俯瞰視点で見れるし俺氏視力2.0なので2階でも余裕wwwwww」 という事で案外あっさり2階席に移動することが決定した。近くで見たいってごねるかと思ったけど……そうだ、こいつ視力バカいいんだった 2階席は六委員会の委員長、副委員長やランキング上位者にのみ使用が認められる言わばVIP席。 上記に当てはまる人の許可があれば最大3人が同伴可能な為大牙や晴人も使うことができる。 皆忘れてるかもしれないけど俺実は美化委員長だから。 ちなみにランキングっていうのは『抱きたい』『抱かれたい』ランキングのことで役職持ちは主にこのランキングの上位者から選ばれる。 まぁイカれた学校のイカれたシステムだ。 俺?俺は前美化委員長からの推薦だしオネエだからランキング外だけど?文句ある?? 「おお〜、景色良好ですなぁ!ここなら問題なくガン見出来るwww」 「ほら、まだ生徒会来てないんだし早く注文決めなさいよ。」 「はいはーい、俺氏ハンバーグ定食!」 「日替わりランチ」 注文が決まりウェイターを呼ぶためベルを鳴らす。 「店員さーん!」って叫ばないんだよ、ここ金持ちの坊ちゃん達ばっかりだから。 「ハンバーグ定食と日替わりランチと…あと坦々麺で。お願いね?」 ウェイターのお兄さんに注文を済ませた直後1階からきゃあきゃあ騒ぐ声が聞こえる。 生徒会のご登場か、と見てみるがそこには3人の生徒しか見えない。 「おぉっ!あれが転校生ですな!!ほら、もじゃもじゃ頭に瓶底メガネの!隣には…お、サッカー部の相沢と不良の久竜(くりゅう)……見事爽やかくんと一匹狼を手懐けたようじゃな〜」 「へぇ、転校生って1年だったの」 「なんだあいつ……変な格好だな……」 よく見てみると黄色い歓声の中にちゃんとした悲鳴が混じっている。 大方イケメン2人を侍らせる転校生が許せないのだろう。しかも髪の毛マリモだし瓶底メガネだし。 転校生を甲斐甲斐しく世話しようとする2人を見て倒れる人が見えた。 「裕翔(ひろと)雄也(ゆうや)!!食堂ってこんなに広いんだな!!」 「あはは、そうかな?僕達は中等部から見てて慣れちゃったからなー、あ、(こう)!ここ座ろうね」 「こ、光、こっちに座れよ…」 「おう!じゃあ雄也の隣に座る!!」 転校生達の…主に転校生の会話が爆音すぎてここまで聞こえてくる。 周りの阿鼻叫喚の地獄絵図を一切気にせずに彼らは真ん中の方の席に座った。 「…うるさいわね転校生、ここまで会話が聞こえてくるなんて。あ、大牙1口ちょうだい」 「ん。まぁ耳栓付けてりゃギリいけるな、志希、1口。」 「ナチュラルにいちゃつかれてどっち見るべきか分からんwwwwww」 「転校生見てなさいよ、アタシ達先食べてるから」 いやもうめっちゃうるさいから見なくても会話聞こえるし何より届いた坦々麺めっちゃ美味しそう。 大牙の頼んだ定食の唐揚げもサクサクで非常に美味しそうなので1口貰った。やっぱ金持ち校のちげぇ、めっちゃ美味い。 「お、転校生がオムライス注文w王道展開キタコレwwwということはもうすぐで生徒会が来てイベント発生ですなぁ〜!!」 その瞬間、今までと比べ物にならない程の歓声が階下から響く。 「…いよいよ、生徒会のお出ましみたいね。」
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