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巨大な黒鷲から身を守ろうと、反射的に出した拳が偶然にもそいつの急所に当たってしまい、黒鷲は瞬時に甲板の上に沈み落ちた。
それを見ていた白い鷹はプルプル震えているようで、俺の体に振動が伝わってくる。
さぞかし怖かったのであろう
「 おい、大丈夫か? 」
「 ピ… 」
鷹を静かに抱きしめてやる。
すると、鷹の震えは次第に消えていった。
その直後に黒鷲は目を覚ますと、逃げるように天高く飛んで行ってしまった。
物音に気付いた家来たちが、鷹を抱く俺の周りに集まってきた。
「 若様!お怪我は? 」
「 大丈夫ですか? 」
「 ああ、この迷子になった鷹を慰めていただけ、大した事はないよ 」
そんなことがあったからだろうか、どうやらこの鷹に好かれてしまったらしい。
甲板に立つ度に何処からともなくやって来ては、しばらく俺の肩の上でくつろいでいる。
普通なら、鷹の強靭な爪で大怪我をするところだろう。
不思議なことにこいつの爪はまったく痛みを感じさせなかった。
「 何処から来たんだ? 」
「 ピー! 」
「 そうか じゃあ 」
「 ピー?…」
「 俺の名は剣人、おまえのことをピーと名付けさせてもらうぞ 」
「 ピー! 」
鋭い眼とは似つかない可愛い声をした奴だ。
お前といると心が和む…
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