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黒魔女キトカ
標高が高くなるにつれ、道端の緑は灰褐色の石に取って代わる。シャルロッテは目を皿のようにしてリボンの包みを探しながら足早に山道を登っていた。
「これ以上行けば、日暮れまでに村へ戻れなくなる」そう焦る気持ちと「もう少し先に行けばリボンを見つけられるかもしれない」という2つの気持ちが拮抗する。
山の稜線に夕日がかかる。これを最後と見渡せば、岩場に茶色い紙袋が挟まっているのが目に留まった。
「あっ! あれは!」
シャルロッテは喜びに震え、思わず駆け出した。
夕日がシャルロッテの影を引き伸ばす。紙袋に手を伸ばしたその時、しわがれた声がシャルロッテを一喝した。
「あたしの影を踏んだのは誰だい!?」
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