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紙袋をつかんだシャルロッテが慌てて振り向くとそこにはいつの間に現れたのか、黒いローブを身にまとった老婆が立っていた。
「お前はあたしの影を踏んだ!!」
ものすごい剣幕で怒鳴りつけられたシャルロッテはバツが悪そうに老婆にわびた。
「ごめんなさい。私、探しものをしていて……気が付かなかったんです」
シャルロッテの謝罪など聞く耳を持たず老婆は喚き散らした。
「いいや、ゆるさない! 断じてゆるされるべきことではないのさ! お前はこの大魔女キトカの影を踏んだ! ゆるされるはずがないだろう!?」
「あの……本当にごめんなさい……」
大魔女と聞いてシャルロッテの胸がドキンと打った。
『ヴァルプルギスの夜』にはブロッケン山に入っちゃいけないよ――
暖炉の前で夢現に聞かされた母の声がワンワンと頭の中に鳴り響く。
「ゆるさないと言っているだろう! 物わかりの悪い娘だね!」
魔女はキィキィと甲高い声を上げた。
「何度もあたしに同じことを言わせたバツだ!」
キトカが杖を振るうとシャルロッテの喉はキュウッと締め付けられた。
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