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(逃げなくちゃ。家に帰らなくちゃ)
シャルロッテは岩だらけの山道を転がるように駆け下りた。
村外れの丘にたどり着く頃には日はすっかり傾き、空には星が光っていた。
息の上がったシャルロッテは足をもつれさせ、よろけたはずみで前から来た男にぶつかった。
「ゆるさない」
咄嗟に謝ったつもりだったがシャルロッテの口から飛び出した言葉に男は怒り出した。
「そっちからぶつかってきといて、ゆるさないはないだろう?」
シャルロッテは怯えたように後ずさると、ギュッと口を引き絞って駆け出した。
「あっ、待てっ!」
男の声を背中に受けながらシャルロッテは再び走った。
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