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村の入口にたどり着くと、数人の男たちが集まって話をしているのが見えた。群衆の中にハンスの姿を見つけたシャルロッテは、泣きそうになりながら手を振り声を上げた。
「ゆるさない!!」
歓談の声が止み、村人たちが一斉にシャルロッテを見た。
「なんだい、シャルロッテ。いきなりゆるさないだなんて? 祭りの準備も手伝わずにどこへ行っていたんだ?」
ハンスは少し不機嫌そうにシャルロッテに向かって声をかけた。
シャルロッテは慌てて両手で口を押さえた。(駄目だわ、何を話しても『ゆるさない』としか言えなくなっている……そうだ!)シャルロッテは小枝を拾い上げ、地面に文字を書き出した。
『助けてお父さん、魔女に魔法をかけられたの』
しかし、文字はグニグニとのたうつと『ゆるさない』という言葉に変わった。(書くこともできないの!?)シャルロッテは愕然とした。
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