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パーーーン
突然の大きな音に、良子の身体がピクリと動いたのが分かった。
「うわぁ」
こころが感嘆の声を上げる。
空に広がる美しい模様。
次々と上がっては、花開き、夜空に吸い込まれるように消えていく。
「きれいだねぇ、花火」
こころと一緒に空を見上げ、ゆっくりと良子が言った。
「きれいだねぇ」
こころも良子のまねをしてゆっくり言うが、興奮は抑えられないらしく、新しく花火が上がるたびに、「うわっ」とか「きゃっ」とか声を上げていた。
そんな娘の声を聞きながら、空を見上げる良子の目は、見たことがないほど優しかった。
ああ、大丈夫だ。
小太郎は安心する。
彼女にどんな苛烈な運命が待っていようと、必ずここに帰ってくるだろう。
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