2人の誕生日

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「真湖ちゃん。そういう事だから、俺行かないと。 うちの組と、他所の組とのちょっとしたトラブルで。 そのトラブった奴に話し聞くのに今から事務所に。 だるいなぁー」 そう、わざとらしくため息をついている。 「一夜を永倉ジュニアが迎えに来るとか? 永倉…息子?」 「そうそう。うちの直参に永倉組ってのがあって。 永倉の父親が組長でその息子が若頭なんだけど、 どっちも永倉だから、息子の方を永倉ジュニアって呼んでる」 「そうなんだ」 「そう。 俺、着替えたらすぐ出るけど、 真湖ちゃんは朝迄ゆっくりして帰ればいいよ?」 「え?いや、私も帰る」 一人でラブホテルで一晩過ごすって…。 「ダメ。本当にこの辺り物騒だから。 さっきよりも、今みたいな夜の店が閉まった後の時間なんか特に。 せめて朝日が昇る迄、ここで大人しくしといたら?」 「でも…」 今夜は、急いで家に帰らないといけない理由もないけど。 お母さんには、今夜は帰らないと伝えているから。 けど、やはりラブホテルに一人は嫌だな。 「あ、じゃあ俺と一緒に出る? ついでに、永倉ジュニアに真湖ちゃんの事を家に送らせる」 「え、いや、それは悪いから!」 だって、その永倉ジュニアもヤクザだろうし。 そんな人に送って貰うなんて、怖い。 「それは気にしなくていいよ。 それより、時間ないからダッシュで着替えて!」 急かすようにそう言われ、どうしよう、と思いながらも、頷いた。
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