ヤクザ

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「…気持ち良かった」 昌也はイクと、私から身を離して、横に寝転ぶ。 私にそうであるように、他の女の人とも、ちゃんと避妊しているのだろうか? 避妊していても、他の女性にも突っ込んでいると思うと、気持ち悪いな。 やはり、別れようかな?と、 そう思い、横に居る昌也の顔を見る。 「真湖が就職したら今よりももっと会える時間減るかもだな」 そう言われ、この人はこの先も私と別れる事なんて全く考えていないのか、と思う。 心のどこかで、捨てられる前に私の方から捨ててやろうかな、って気持ちがあったけど。 昌也がそうなら、このままでもいいか。 「今と変わらないんじゃない」 現在、昌也とは月に3~4回くらいのペースで会っている。 昌也は仕事が忙しいが、私は暇な大学四年生。 既に内定を貰っているので就活もせず、大学は殆ど行かず、週に3度程、総合ペットショップでレジ打ちのアルバイトをしている。 来年の春からは、忙しいかもしれないけど、 昌也と会うペースは変わらなさそう。 「そっか。それならいいけど」 昌也はティッシュで後処理をすると、 下着を身に付けて、もう寝るのか、目を閉じてベッドに寝転ぶ。 「私、誕生日だから、フライドチキンよりもケーキが良かったな」 昌也は、ケーキは買って来てくれなかった。 「真湖、甘いもの好きじゃないだろ?」 眠そうな声で、そう返される。 「甘いもの、好きだけど。 誰と間違えてるの?」 そう、突っ込んでみるけど。 「好きだっけ?」 そう、平然と返される。 昌也は多分。 浮気がバレても、私が離れて行かないと思っているだろうな。 浮気を一応は隠してくれるけど、 隠し方が、雑。 私から猛アタックして始まった、この交際。 私が自分にベタ惚れだと思っているのだろう。 間違ってはないけど。 けど、最近、昌也に対するこの感情が惰性のような気もして来る。 好きだと思い込んでいるだけのような。
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