ヤクザ

6/23
前へ
/175ページ
次へ
昌也は日頃の疲れからか、ぐっすりと眠っている。 私は枕元のスマホを、手に取る。 それは、昌也のスマホ。 昌也のスマホのロックの暗証番号は、 分かる。 昌也が自分の誕生日の数字を真逆から入力してるのは、 もうずっと前から近くで見ていて知っていた。 これで合っているか、以前、一度、今のように、眠っている昌也の横で、勝手に解除をした事がある。 だけど、その時はロックを解除しただけで、中を見なかった。 もし、昌也が浮気していたらどうしようか?と思って、怖くて。 今は、もう浮気している事を私は知っている。 LINEのアイコンを、タップした。 一番上は、私とのトークルームで。 その下が、昌也の高校時代からの親友の、海斗(かいと)君。 海斗君は、高校卒業後、調理師の専門学校へと行き、 現在、ホテルのレストランで働いている。 警察官の昌也と同じく海斗君も忙しいけど、 二人は今も仲良くしている。 さらにその下の、"ami"と書かれた、トークルームを、開いた。 (今日はやっぱり会えないの?) そう書かれている文章に昌也は、 (今日はごめん。仕事が忙しくて、多分、泊まりになると思う) そう、私に昨日送って来たような文章を、書いている。 少し遡り、昨日を見る。 (今日、昌也君に会えないかな? 会いたいな。) それに対して、 (20時以降なら、いいよ。) そう、昌也は返している。 そして、その後はM駅のカフェで、 二人は待ち合わせするやり取りをしている。 昨日は、この"ami"ちゃんからの急なお誘いで、私との約束をドタキャンしたのか…。 なのに、今日はこの子を断り、私を誘ったのはなんでだろう? なんとなく、海斗君とのトークルームを開いた。 (この前知り合ったあの事務の子、夕べお持ち帰り出来たんだけど、急に生理になられてお預け。最悪。 あー、今夜は、真湖でも誘うか?) それは、海斗君宛の昌也のメッセージ。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1494人が本棚に入れています
本棚に追加