つまらない社交場よりも入団希望を。

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つまらない社交場よりも入団希望を。

久しぶり社交場に来たけれど… 私の近くには必ずだった。 お兄様達も居る。 だから私から何を話す事もない… そんな私すらも見てるだけで判る。 こんな場所だから更にと。 それぞれ皆が煌びやかな姿を。 それなのに、やっぱり… 皆が同じ目でヤラリス侯爵家をと。 同じ目で… 私すらも皆が見てくる。 絶対に、お兄様達だって気付いてる筈なのに… また同じだった。 お兄様達にと私は呼ばれた。 だから少し笑いながら相手にと挨拶をする。 そうすると皆が同じ目、皆が同じ言葉を言う。 それだけだった。 すぐに、お兄様達が他にと対応もする。 お兄様達を見ると… 他の者達にとも全てに対応してた。 確かに、そう… 私から話す事も必要ないけれど… また、そこで考える。 やっぱり… 判らない… これなら私が社交場に来る意味は… 何になるの? もう家に居るよりも退屈にと… なるだけなの? 私は目を僅かに閉じた。 それから思う。 こんな皆すらも、もう… 見たくない!! そう思ってた時。 リアン兄様が私と言ってきた。 「ユアナ… 疲れただろう? 挨拶程度しか無いからなぁ。 もう家にと、一緒に帰ろう?」 その声にと。 私は目を開けてリアン兄様を見た。 優しい笑顔だった。 だから私は下を向いて言う。 「はい… リアン兄様…」 そんな私にと。 今度はアラン兄様も言ってきた。 「ユアナ… もう疲れてるのだろう? 今夜は、ゆっくりと休みなさい。」 私は優しく言うアラン兄様にと。 頷くだけだった。 そんな事もあって社交場から帰る事になった。 ************************** 広い社交場からと。 私は何も言わずに外に向かうけれど… お兄様達が、それぞれ対応してた。 私は何も言う必要すらないのも同じ… そのまま外にと。 お兄様達と一緒に行動もする。 大きな会場の外に出ても同じ… 僅かな階段を降りれば既に馬車が控えてる。 そんな馬車に乗って中の椅子に座ると。 同じ様に、お兄様達も座ってから簡単な合図を出す。 移動する事も判った。 馬車の中は三人だけで充分の広さもある。 今日の社交場は夜だったからこそ… お兄様の二人共が一緒に居た。 いきなりだった。 馬車が急に止まった。 外から大きな音も聞こえた。 私は驚く。 それに対しても、すぐだった。 お兄様達が剣を手にして動いた。 「ユアナは動かず… この場に居なさい。 リアンは反対をだ。」 「判ってる。 アランもだ。」 馬車からと二人共が出たのも見る。 私は一人になるけれど… 何も判らない。 でもアラン兄様の言う通りと。 馬車の中で私は動かなかった。 それでも大きな音ばかり聞こえてくる… 急にだった。 リアン兄様が馬車の中に入ってきた。 けれどリアン兄様は何も言わず… 一気に私を抱き寄せて馬車から出る途中。 普段とも違う雰囲気で言った。 「ユアナは俺から離れずにだ。 数だけ多いからな…」 でも私は久しぶりに見た… リアン兄様の顔に気付いた。 私には決して、しない… お父様との訓練中にしてた時を思い出す。 リアン兄様にと抱き寄せられたまま… 私も外に出ると、凄く驚いた。 街道の… あちこち僅かに火も? 私すら驚いてしまうぐらい、もう… 数えられない人が? 何が起きてるの? そう思ってる時。 馬車を囲む様に居る… 多い人達の中から大きく声が聞こえた。 アラン兄様の声だと判る。 「リアン!! この場はユアナをだ!! 無駄に数だけが多い。 判るな!?」 すぐにリアン兄様もだった。 「判ってる!! アラン、ルート3でだ!!」 そう言うとリアン兄様が私を抱き上げた。 私は驚くのもあるけれど。 この場から移動しようとした事も判った。 「リアン兄様? でも… アラン兄様が!!」 「ユアナ。 アランならば大丈夫だ。 この場では人数が多いだけ。 大した実力もない盗賊だろう。」 私は抱えられながらも、また驚いた。 盗賊? あれが? 初めて見たのもある。 だから具体的には判らなかった。 そんな移動中にと。 また急にリアン兄様が止まって言う。 「そこに居る者!! 気付いてるぞ… 出て来い。」 えっ? でも、誰も… 不思議に思ってる時。 「流石だ。 ヤラリス侯爵家の者ってかぁ? だが… やっと釣れたぞ。」 男性の声が聞こえた。 私には場所も判らないけれど。 ヤラリス侯爵家の者と? 釣れたと? リアン兄様が私を簡単に片手で抱え直して… 反対の手で剣を持ったのは判った。 「狙いは… まさか!?」 ここからだとリアン兄様の顔も見えない。 でも声も違う? 場所すら判らないのに男性の声が聞こえた。 「あぁ、そうだ!! 随分と隠してたが、ようやくなぁ。 そして一人、好都合だぞ?」 その時に何かが飛んできた様に? すぐにリアン兄様が剣で何かしたのを見た。 でも数が増えてばかりにも見える? 私には判らない… 「ユアナは俺の後ろに… 一切、動かないでくれるな?」 そう言ってからリアン兄様が私を降ろした。 私も言われた通りにと、後ろに居た時。 少し離れた場所からアラン兄様の姿が見えた。 けれどアラン兄様は驚いた顔で大きく言った。 「リアン!! 後ろもだ!!」 リアン兄様が動こうする様子を? でも私は何も見えなくなった。 同時に身体も浮いた感覚もした。 それから何か香りがすると… 今度は凄い眠気だった。 「「ユアナ!!」」 お兄様達の声だけ聞こえたけれど… そのまま何も判らず私は眠った。 ************************** ふと私が目を開けた時。 少し私は首を振ってから周りを見ると… もう凄く驚いた。 かなり多い男性が私を囲んで居た… そんな男性達をと見る。 年齢すら? 皆が、それぞれ違う? 服装も違う? でも… 武器を持ってる… この場所も判らない… どうにか声は出さずにと。 私も考えてる時だった。 一人の大柄な人が大きく言った。 「首領(しゅりょう)!! ご令嬢さんの目が覚めましたぜ!!」 また私は驚く。 ご令嬢さん? 私の事? 「おぉ、判った!! すぐに行く!!」 奥の方から、また男性が現れた。 その男性は私の少し前に来てから笑って言う。 「やっとだ。 かなり苦労したが… ヤラリス侯爵家の令嬢さんだよなぁ。 まぁ… 一目で判る。 一応、初めましてと言おうか?」 その男性を私は良く見ると… お兄様と同じぐらいの年齢に見える? でも雰囲気が他の人達とも違う? 判らない… 私は首を傾げる。 その男性は、また少し笑いながら言う。 「あはは… 本当に何も判ってねぇって顔だなぁ? まぁ、しょうがねぇのか? あのヤラリス侯爵家の令嬢さんだし? 社交場にすら出て来ない上に? 守りが、もう厳重だったからなぁ… 俺は盗賊団の首領(しゅりょう)でもあるんだが。 それぐらいは判るかぃ? ご令嬢さん?」 どうにか私も考える。 盗賊団の? 首領(しゅりょう)… それは… 一番、偉い人? 「はい… 多分? 偉い人?」 盗賊団の首領(しゅりょう)と名乗った男性がだった。 それにと、もう凄く笑って言った。 「あははははっ!! 俺が… 偉い人か? その前に… 盗賊団って事が判ってねぇ… こりゃ傑作だな!! スゲェ面白いぞ!! そんな感じで思えば良いか!! ご令嬢さんにと… 簡単に言えばなぁ。 ここに居る馬鹿共の中か? あははははっ!! まぁ、そうなるのか… 一番偉い人だ。」 それを聞いて… 更にと私は首領(しゅりょう)さんを見た。 やっぱり年齢は… お兄様ぐらいだと思うけれど? それに私と少し似てる? 髪色が少し違う。 その首領(しゅりょう)さんは… 髪色が淡くない濃い赤みのあるブロンド? 初めて見る色でもある。 肌も色白… 瞳は私と同じのヴァイオレット。 けれど私よりも濃い? それに整った顔立ちもしてた。 お兄様にも少し似てる? 男性らしい体付き? 私が不思議に見てると… 首領(しゅりょう)と名乗った男性が笑って言う。 「まぁ、傷付けたりしねぇよ。 実際に見れば判るがなぁ。 確かに? 噂通りだ… ヤラリス侯爵家の。 ご令嬢さん? その淡い髪も、姿も、全てがと。 確かに、こりゃ噂以上だ… だが、これだと… ヤラリス侯爵家に金をよりも。 先に他国へ売る事を考えてたが… これ程になると… 目立つだろうからなぁ。 簡単には選べねぇ。 そうなると… 簡単なのはヤラリス侯爵家。 それも下手したら、こっちが危ねぇし? もう… しばらく潜るしかねぇか? 大金には、なるんだが… 予想以上過ぎた。」 一応、私も盗賊団の? 首領(しゅりょう)さんの話も聞いてた。 これは… 誘拐みたいな事の? お金と… 売る? でも私は目立つから売れないと? そこで私は周りを再度、見渡す。 この場所は地下? 判らないけれど… でも… 私は首領(しゅりょう)さんを見ると… その首領(しゅりょう)さんも同じで… 冷静な目で私を見てるのが判った。 その目を僅かにと… 目付きだけ変えてから言われる。 「ご令嬢さん? 逃げるとか考えないでくれなぁ? 手荒な事は、したかねぇぞ?」 逃げる… それを私が聞いた時に思い出した。 家出の時をだった。 私は考える。 ここなら、きっと… 私は首領(しゅりょう)さんをしっかりと見た。 それから『お願い』をする事にした。 どうにか私も言う。 「首領(しゅりょう)さん。 あの、私が… お金にならないと言うのでしたら。 私も働きたいと思います。 それで首領(しゅりょう)さんが一番偉い人なので… お願いを聞いて貰えませんか? その、働く為にと… する方法が判らないから、お願いにと? なってしまうけれど… 首領(しゅりょう)さんにと。 一つだけ、お願いが、あります。」 首領(しゅりょう)さんは目付きも前と戻った。 でも口元に右手を当ててから… 微妙な顔で私を見ながら言う。 「働きたいだぁ? しかも、お願いが一つと? それは俺が一番偉いからと。 そう判断したのか? 全く予測も出来ねぇ、ご令嬢さんだなぁ。 まぁ、一応かぁ? 言うだけ言ってみろよ?」 私は目を閉じて一生懸命にと考える。 怒られる? 判らないけれど… 勇気を出して目を開け首領(しゅりょう)さんを見る。 それから大きな声で私は言った。 「首領(しゅりょう)さんに住み込みで雇って欲しいです!!」 そう言うと周りの全員が急に騒めいた。 更に首領(しゅりょう)さんは複雑な顔になった。 「ちょっと待てぇ!? ご令嬢さん? 俺らは盗賊団だ。 それを理解してるのか? 雇うとか… ねぇぞ!?」 雇い入れてないと… 「えっと… 雇ってないなら… でも… この皆さんは、どうやって入ったのですか?」 「判ってねぇ気もするが… まぁ、入団希望した馬鹿ばかりだ。」 首領(しゅりょう)さんが微妙な顔で言うのを見た。 入団… 盗賊の… また私は首領(しゅりょう)さんにと大きく言った。 「だったら、首領(しゅりょう)さんへの… お願いは一つだけです。 私も入団希望したいです!! それで働いて、お金を首領(しゅりょう)さんになら… 住み込みは可能ですか?」 そう言うと首領(しゅりょう)さんすらも驚いた顔になった。 それから私にと言ってくる。 「待て待て待てぇ!! どんだけ判ってねぇんだ!? 俺にと頼みが一つだけで? それが入団希望だと!? ヤラリス侯爵家の? ご令嬢さんがと? んなの、出来る訳ねぇぞ?」 また私は目を閉じた。 勇気を出して、そのまま大きく言った。 「私は侯爵令嬢から変わりたいです!! だから、どうか、お願いします!! 私も盗賊団にと、入れて下さい!!」 どうにか言ってから目を開けると… 首領(しゅりょう)さんは凄く驚いた顔で私を見てた。 更にと周りが騒めいた。 でも首領(しゅりょう)さんが周りの方を向いた。 それから大きな声で怒鳴った。 「静かにしやがれ!! この馬鹿共がぁ!!」 すぐに周りが静かになった。 首領(しゅりょう)さんが目を閉じた。 そして口元にと右手を当ててた。 考えてる様子? 首領(しゅりょう)さんが目を開けてから… 私にと微妙な顔で言う。 「だったら、俺からの質問だ。 それの返答次第、判断も可能かも知れん。 俺からの質問は一つだ。 そこまで入団したいと言う理由は何だ?」 それを聞いて私も目を閉じて必死に考える。 家出しても、したかった事… お兄様達は好き… それとも、違う? 判らないけれど。 でも嘘を言うより、きっと… 目を開けてから、しっかりと… 私は首領(しゅりょう)さんを見る。 怒られるかもしれないけれど… でも… 「私は今の家には帰りたくない… 本当に愛する人を探したいからです!!」 どうにか大きく言った瞬間。 もう首領(しゅりょう)さんは驚きながらも… 複雑な顔のまま私を見てた。 でも急に首を横に振ると… すぐに首領(しゅりょう)さんは目を閉じた。 また口元に右手を当てて考えてる様子だった。 「今の言い方… 更にと理由…」 そう言うと首領(しゅりょう)さんが目を開けてから… 複雑な顔で、しばらく私を見てたけれど。 首領(しゅりょう)さんは溜息を出した。 それから私を見ながら言った。 「良いだろう。 お前の入団を『許可』する。 だが使えない奴を置けねぇぐらいは判るな? だから、もう… お前は『仮入団』に決定だ。 そもそも、俺が使えねぇと思う奴は要らねぇが。 その仮入団中は俺が直接にとかぁ。 『審査』する方が判るだろう… まぁ、お前にと? 相当、判り易く言うなら… 俺が出す指示の… もう… 『お手伝い係』かぁ? 正式な入団は、今なら後回しだ。 どうしてもと… 俺に出した理由の予測もあるが… お前が嘘を言えるとも思えねぇ。 一応、俺の手伝いぐらい… お前は出来そうにねぇなぁ!! 全く予想外な事すら、しかねんだろ!? だったら、もう良い。 俺の見える場所に居ろ? 今後お前は馬鹿をやる前にだぁ。 判らねぇなら聞いて覚えりゃ良い。」 それを聞いて一応、私は納得もした。 それに『仮入団』が出来たなら… ここに私も居られる!? ************************** こんな気持ちは久しぶりだった。 もう私は嬉しくて笑って言う。 「ありがとうございます!! 首領(しゅりょう)さん!!」 また首領(しゅりょう)さんは溜息を出した。 微妙な顔で私を見て言う。 「もう、これが最初の一つ目だな? その呼び方かぁ? 『首領(しゅりょう)さん』ってのを止めろ。 気持ち悪ぃ。 ヤラリス侯爵家の令嬢だったから… 確か名前は… 『ユアナ』だったかぁ? あんま考えてなかった…」 すぐに私は笑って聞いた。 「えっと。 判らない事は聞いて覚えると… 首領(しゅりょう)さんの名前は何ですか?」 首領(しゅりょう)さんは微妙な顔でだった。 「はぁ… 俺の名前は『ゼス』だ。 ユアナの場合… 正式な入団はしてねぇかんな? 首領(しゅりょう)ってのも変だし? もう、どうしようもねぇ…」 ゼスさんと… 「判りました、ゼスさん!!」 すぐにゼスさんは首を横に振って言う。 「ゼスで良い… さん付けをだ。 まず止めろ? 気持ち悪ぃ…」 そんな様子でだったけれど。 ゼスは急に周りの皆にと大きく言った。 「おぃ、馬鹿共も聞いてたなぁ!! この『仮入団』馬鹿は、お前らよりもだ!! どうせ、しばらく潜る。 もうユアナに関しては俺が決めるしかねぇ!! 手は出すんじゃねぇぞ? ん、一応かぁ? もう盗賊団の一員扱いだが… 多分、全く使えねぇ気しかねぇ… 俺の判断待ちでも、してろ!?」 そう言うと皆が、すぐにだった。 頭だけを下げるのを私は見た。 これは… 私が見てると? ゼス以外、皆が全員と? 「ゼス? その… 聞いて良いの?」 そう言うとゼスが私にと視線だけを向けた。 「ん? もうかよ、何がだ?」 「どうして… 皆は頭を下げたの? 意味は何ですか?」 なぜかゼスは溜息を出してから言った。 「既に、そこかぁ… ユアナ? これは覚えなくて良いぞ。 仮入団中は俺の命令のみ。 で、返事は?」 「はい!! 判りました!! ゼス!!」 私が笑って言うと… ゼスは複雑な顔で、また大きく溜息を出した。 「俺は厄介なもんを? あんだけして? 釣ったのかもなぁ… まぁ、もう良いが? ユアナは俺の見える場所に居とけ。 これは… もう俺が調べるだけか…」 そう言ってから歩き出すゼスを見た。 不思議に思いながら他の皆をと。 少し見ると、さっきと違う目を… 全員が私をと見てた。 今まで見た事もない目だった。 私はそれが嬉しくて… 笑ってから皆にも大きく言った。 「これから宜しくお願いします!!」 皆の方も驚いた顔をした時。 「ユアナ。 もうなぁ… 充分、全員が判ってるぞ? 良いから着いて来い。」 また私は笑いながらい言う。 「はい、ゼス!!」 そう私が言って歩き出すゼスにと。 着いて行った… ************************** 一方、アランとリアン。 ヤラリス侯爵家の中でだった。 「リアン!! ユアナを取り戻す策だけにだ!! こんな事… 俺すらもか!!」 アランが叫びながらも… 部屋にあったソファすらも蹴り付けて壊した。 ヤラリス侯爵家の中には最高級品のみ。 それすら、どうでも良い程に… 完全に怒りの顔でだった。 既に部屋の中は様々な物が壊れ… 散乱していた。 「アラン!! 待て、これを見ろ!! 明らかに狙われたのは確実だが… それに、これなら俺すらも…」 リアンはテーブルの周辺地図を見て気付いた。 完全に怒りで側にあった花瓶をまた壊す。 そんなリアンの意味にと気付いた。 すぐに地図を見る為にとアランも動く。 そのリアンの言った内容にも判った瞬間。 もうアランは側にあった器具を、また壁に投げつける。 「これは… やはり、わざとか!! 俺とリアンを離す為だけにと… だから数だけをと、あの場所に!! だが、これは… まだ問題すらある…」 それにリアンも意味に気付いて確認する。 そして地図をと、また見て… すぐに怒りの顔で言った。 「これだと全てのルートまでだぞ!! だから、あの時に、わざと… 更にとだ!!」 アランすら判る。 完全にユアナだけを狙ってだと!? 「リアン。 これだけ纏めてるならば… もう、ただの盗賊団じゃないぞ。 かなり頭脳があるからこそだ。 予測だが『首領(しゅりょう)』だろう。 これではユアナにと!? 最悪… いや、すぐには無理な筈だが…」 既に怒りを隠せないアランにと。 リアンすらも、どうにか怒りを抑え付けて言う。 「待て、アラン!! 最悪の場合は違うだろう… 考えたくもないが、もっとだ。」 その言葉にとアランもだった。 リアンを見るが、互いの怒りにも判る。 それでもと言った。 「何だと? リアンも判る筈だろう!? この『首領(しゅりょう)』って奴が問題だ… ユアナにと絶対、影響するに決まってる!!」 リアンも怒りが判る。 だが、すぐにアランにと大きく言った。 「違う!! 良く考えれば、もっと… アランすら判る筈だ!! こんな事は… 勿論ユアナにも影響はあるが。 だが、もっと最悪なケースがある!!」 それを聞いてアランも、また… すぐに判って言いたくもない事でもあった。 「おい、リアン。 まさか… 最悪の場合は首領(しゅりょう)って奴の方が… ユアナにと言う意味か!? だが、ヤラリス侯爵家の内情すら。 簡単に帝国全てからも隠し抜けるんだぞ!!」 それにもリアンは、すぐに理解する。 テーブルを大きく叩きながら言った。 「アランの予測通りだ… これは本当に最悪なケースだがな。 確かに無理な筈だが… 落ち着いて考えろ。 俺すら怒りを、どうにかしてるんだぞ!!」 そこでアランも冷静にと思い目を閉じて考える。 大きく息を吐き出してから、そのまま言う。 「リアン… 問題点を全て出すぞ。 今回の件だけでも… 首領(しゅりょう)がだろう。 まず先にだ。 ユアナが社交場に来る日時予定。 更にと馬車へ襲撃時間すらの予測もだ。 それをと、されてた事もある。」 アランの様子を見てから… リアンも冷静にと思いながら息を吐き出す。 そして目を閉じて考える。 そのまま続けた。 「あぁ… それもあるが。 逃走ルートもだろう。 わざと選ばせた事もだ。 他のルートも仕掛けがあったかも知れないが… だが、これは違う。 あのルート3だけだろう。 俺と僅かに話した相手。 気配の消し方すらもだった。 可能性ならば… あれが『首領(しゅりょう)』っ奴か…」 リアンは目を閉じたままだが思い出す。 すぐに側にあったテーブルだけを蹴り壊した。 どうしても… 怒りが湧き上がるだけだった。 アランも察して目を閉じたまま考えて言う。 「リアン、気持ちは判る。 だが、最優先をだ。 俺も許せないが、落ち着く事で策をだ。 その聞いた言葉… 確かに『やっと釣れたぞ』と言ったのならだ。 それだと… 事前にと約3年間にもなる。 そんな奴なら…」 どうにかリアンもまた冷静にと。 目を閉じたまま考えることを優先させた。 「あぁ、悪い… アラン、そうだな… 最優先ならばユアナを。 もし、そんな首領(しゅりょう)ならば… 他国にとも出さない筈だ。 ユアナが出れば、すぐに見つけられる。 きっと潜む方を選ぶだろう。」 アランも冷静にと更に先を考える。 「そうなるな。 ならば、潜む場所の特定をと。 更に早くユアナをだ… 情報は何も問題ない。 だが、ユアナの言動で予測すらだろう。 それでと… ヤラリス侯爵家の内情を探る筈だ。 ユアナにならば… これだけの首領(しゅりょう)… 確かに可能にもなるか。」 リアンも目を閉じたまま言う。 「あぁ… ユアナにとだろう。 場所の特定が最優先にと。 ならば軍部は動かさず俺達二人のみ。 先にとユアナを。 それから首領(しゅりょう)だろう。 ユアナさえ先に俺達がとすれば… 他の手段など、いくらでも可能になる事。 最優先はユアナを早くに取り戻す。 その後だ。 首領(しゅりょう)っ奴の動きで… それだけでも判断すら可能になる。」 リアンの声にとアランも聞く。 内容にと冷静に判断もした。 「あぁ、そうだな。 リアンのが最善策だ。 ならば、俺達も時間を使えない。 最優先を場所の特定のみ。 そしてユアナをだ。 既に影響は出るだろうが… 再度だ。 それは、また『同じ事』をすれば良い。」 リアンも冷静にとアランの内容に理解する。 「あぁ、判った。 確かに場所と時間のみ。 ずっと今まで『続けてた事』にすら… 影響は出るだろうが。 それを含めて、再度だ。」 アランとリアンも同時に目を開けた。 そして互いを見て理解もする。 「アランは場所の特定を。」 「判った。 リアンは全ての策を。」 アランとリアンもだった。 それは冷徹にも見える程の目で頷く。 それから、二人は動き出した。
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