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首領の手伝い係で学びと喜びを。
私がゼスに着いて行くと…
やっぱり地下の様にも見える?
複雑に入り組む通路で薄暗い。
ドアもないけれど?
色々な部屋みたいと?
なってる様な場所もあるの?
周りを見渡しながらもゼスに私は着いて行くと。
そんな中でゼスが部屋の様な場所にと入った。
それを見て私も中に入ると少し広めな空間だった。
でも…
凄く本が多いだけでもなかった。
もう、これは一体?
他にも色々な物があるのは判るけれど…
不思議に見渡す私にと。
中に入ってからゼスが指を示して言った。
「ユアナ。
そこんとこに置いてある照明に火だ。
かなり入り組んでるからなぁ。
流石に場所は言えねぇが…
まぁ帝国だろうが簡単に見つけらんねぇ。」
ゼスにと部屋の中で示された方を見ると…
確かに器具があった。
すぐに動いて私は器具を持ってから考える。
これに火を?
だったら…
また私は部屋を見渡す。
ない?
私が不思議に思ってゼスを見ると…
ゼスも私を見ていて微妙な顔で言った。
「おぃ、まさかだが…
火すらか?」
えっ!?
私は慌てながらも言う。
「いえ、火は私も…
でも、この部屋には道具も…
いつもは…」
首を横に振ってゼスは微妙な顔でだった。
「ユアナ…
火付け石の使い方は?」
「火付け石?」
また私も少し考える。
石で?
火を?
さっき置いてた器具の側をと私も見る。
確かに石が置いてあるのに気付いた。
すぐに不思議に思いながら石を持ったけれど…
私も考える。
これが…
そうなの?
でも…
石で火を?
器具と見比べる。
私は疑問になって器具を一度置いた。
石を手にして見るけれど…
首も傾げる。
「ユアナ?
判らないならと。
さっき俺は言ったが…」
それでゼスを見て、すぐに思い出す。
微妙な顔のままのゼスを見た。
私も小さく言う…
「ごめんなさい、ゼス。
この石は、その…
初めて見たの…
どうやるの?」
そう言うとゼスは私の持ってた石をと。
受け取りながらも動いた。
それから簡単に器具へと石を叩いて火を…
私は驚いた。
「こうやって叩けば良いだけだぞ?
俺もユアナのか?
普段の生活環境も予測が出来たなぁ…」
それから器具を持ってゼスは…
そのまま簡易的な椅子の方へと行った。
私は不安にもなってゼスの側にと。
近付いてから言う。
「ゼス?
その…
頑張って覚えるけれど。
だから、まだ…」
でも私は言うのを止めて下を向いた。
何も私は出来ない…
これなら…
「やっぱり…
ゼスは私を…
どこかに売った方が良いと思います。
別に家でなければ前と…」
急に私は引き寄せられた。
それに驚いてゼスを見ると…
複雑な顔で言ってきた。
「判らない事は覚えれば済む。
だがな。
売られた先の事は全く判らん。
ユアナは今ので学べただろう?
それが出来ないだけでと。
今後の全てをと。
判らない方を選ぶ事は間違えてるぞ。」
凄く驚いた事もある。
でも…
「ゼスは…
教えてくれるの?
それをと?」
私は嬉しくて笑って言った。
「ゼスが言う事で私も判ったよ!!
いつも、そう…
判らないと言っても変わらないの!!
同じ事しか言われないの!!
だから教えてくれるのが嬉しい!!」
今度はゼスが驚いた顔をしたけれど。
僅かに口元に右手を当ててから言う。
「ユアナにと聞きたい事だが…
その、いつも言われる事とは何だ?」
すぐに私は思い出す事でもある。
ゼスにと笑いながら、そのまま言った。
「お兄様達は必ず言うの。
気にする事はないと。
何も考える事もないと。
でも誰も教えてくれないけれど?
違う気がするの。
でも…
そんな気がするけれど…
お兄様達が…
間違ってるとも判らないでしょう?
私が間違ってるかも知れないでしょう?
だから、そう、ゼスみたいにと!!
教えてくれたのが嬉しい!!」
またゼスは凄く驚いた顔をしたけれど。
僅かに目を閉じて言う。
「可能性もあったが。
あり得ない訳でも…」
でも目を開けたゼスは笑って言った。
「よし!!
だったら俺から、もう一つ教えるぞ?
ユアナにとだ。
判らないと思ったら聞けと、俺は言ったな?
だが、誰も聞く相手が居なければだ。
それは、ずっと判らないままだろう?
だったら自分から調べる努力をするだけと。
誰かに頼ってるだけでは何も成長しないぞ?
知る為にと、学ぶ為にと、自分で動けば良い。」
すぐに私は覚えた。
聞く相手が居ない…
だったら自分からと?
動けば良いと…
私は嬉しくて笑って頷く。
「知る為にと。
学ぶ為にと。
自分で動けば良いと!!
もう覚えたよ!!
私も頑張る!!」
そう言うとゼスは凄く笑った。
「あはははははっ!!
とんでもねぇ…
どんだけ…
世間知らずだ…
もう、笑うしかねぇなぁ。
くっ。
あははははっ!!
今頃かよ。
あははははは!!」
私は驚きながらも聞いた。
「ゼ、ゼス?
そんなに…
私は世間知らず?
だったの?」
もうゼスは私を見て笑うだけだった。
「あぁ、勿論だろ?
あははは!!
火すらかよ!?
どんだけ世間知らずか…
すぐだぞぉ!!
まぁ、面白いが?
あはははっ!!」
私は考える。
一応、勉強はしたけれど。
やっぱり?
「まぁ、しゃあねえがなぁ。
そもそも?
ご令嬢さんから入団希望?
あり得ねぇからだし?
だが良いんじゃねぇの?
学べる場だとでも思え。
それになぁ。
ユアナは気付いてないが。
そうやって笑う方が良いかんな?」
すぐに私はゼスを見る。
間違えても教えてくれるの!!
怒らずにと?
それに…
私は凄く嬉しい!!
「ゼスのおかげだからです!!
ありがとうございます!!」
私が笑って言うと…
ゼスは驚いた顔で私を見てきた。
でも、すぐにゼスは笑い出した。
「今度は俺に…
お礼をと…
あははははは!!
もう、やべぇ!!
マジかよ!?
俺すら…
これは、もう堪えられねぇ…
あはははは!!
面白い…」
お礼で?
不思議に思いながら私がゼスを見てると。
どうにか笑いを堪えながら?
ゼスも私を見てだった。
「あぁ…
こんだけ笑うのもだが。
久々過ぎる…
それよりもユアナ?
流石に、その格好は動き難いだけだろ?
先に着替える方が良いな。
既に目立ち過ぎるのもあるが…」
そこで私は気付いた。
社交場で着てた赤ベースの…
お兄様達が用意してたドレスのまま…
私は納得してゼスに頷く。
でも…
「ゼス?
服は着替えれば良いけれど…
他の服は…
どうやって買うの?」
ゼスは微妙な顔になって言った。
「それすら…
これは予測以上か…」
私は首を傾げた。
**************************
ゼスは微妙な顔のまま言う。
「流石に女物の?
まぁ、ねぇしなぁ?
すぐに調達も出来るが…
しゃあねぇか?
そっちに俺の服がある。
適当に今日ぐらいだけだ。
それで何とかしろ?」
言いながらもゼスは私にと指で示した。
ゼスにと示された方を見ると…
確かに服が色々あった。
そっちにと行って服をと。
私が選んでる、その時にだった。
「まぁ、一応?
俺は報告も読まないとだし?
着替えるまでは、そっちは見ねぇ。
ユアナは着替え終わったら言え。」
そこで私がゼスを見ると…
確かに何かを?
読み出して私に背を向けてた。
これは私にと?
気を使ってくれたの?
だったら急がないと。
そう思いながら服を色々と手に取る。
でも…
どれも大き過ぎる…
私も考える。
そう言えば…
ゼス以外の皆も?
シャツが多かった?
色々あったけれど。
ドレスだけ脱いでゼスのシャツを着る。
既にシャツだけでも大き過ぎて…
膝上ぐらいの丈に…
下着は、このままでも良いけれど。
袖も長い…
でも…
今日ぐらいと?
学べる場だと?
ゼスが言ってたのを思い出す。
身体は隠せるから良いと思って言う。
「ゼス?
一応…
これでも良いの?
大丈夫になるの?
ドレスは脱いだけれど?」
そこでゼスは読んでた紙を置いて私を見た。
その瞬間。
もうゼスは凄く驚いた顔で言ってきた。
「待て待て待てぇ!!
それだと…
俺が!?
単純に勘違いされるだけだろ!?
何でシャツだけだ!?」
私も驚きながら、どうにか言う。
「えっと?
でも…
ゼスの服だと?
大き過ぎるのも…
だから身体を隠せれば良いと…」
すぐにゼスは目を閉じた。
口元に右手を当てた。
考えてるの?
多分?
ゼスの癖だと思うけれど…
それからゼスは首を横に振った。
目を開けたけれど…
急に近くにあった白い布の様なのをだった。
引っ張り出す様にと強引に出してから。
簡単に破いたのを私も見てた。
そのまま私にと近付くと…
素早く腰や肩などに複雑に巻いた。
そして、すぐに離れて椅子にと座った。
もう私もだった。
凄い素早さで驚く。
でも…
ただの布だけでと?
私の着てた服がシャツの上から…
器用にも簡易的な服にとなった。
「あぁ…
今のも…
とんでもねぇ…
俺すら危ねぇだけかぁ…」
その声でゼスを見ると…
複雑な顔もしながら椅子にと斜めに座ってた。
この服にと私は嬉しいのもある。
だから素直に言った。
「ゼスは凄いね!!
私も考えたけれど…
布だけで、こんなにと?」
「もぅ…
俺すら?
だが一応、聞いとくかぁ?
ユアナ?
その考えた事は何だ?」
ゼスは微妙な顔で言った。
それにと私も少し首を傾げながら言う。
「えっと…
ゼスも言ってたけれど。
今日だけと。
さっきの皆も。
そうだったと思うけれど…
シャツを着てる人が多かったと。
だからゼスのシャツをと。
でも…
ドレスは邪魔だと私も判る。」
少しゼスは驚いた顔で言った。
「これは…
もしかしたら…
ユアナは知らないだけか?
知らない上に、さっきも俺が聞いたか…
教えて貰えないからと、言っただろう?
だから馬鹿でもなく…
世間知らずなのは確かだが。
単純に『無知』なだけか!!」
ふと私は疑問もあってゼスにと聞いた。
「ゼス?
私も勉強してたよ?
でも…
ゼスの?
さっきの…
勘違い?
その意味は何になるの?」
またゼスは凄く驚いた顔でだった。
「当たり前だってぇの!?
他の馬鹿野郎共にだぞぉ!!
俺は手を出すなと言っただろう?
それなのに、あんな格好だとなぁ…
俺が手を出した様に見えるだけだぞ!?
んな事、出来ねぇよ!!」
私はそれにもだった。
手を出すなと?
ゼスも私にと?
凄く嬉しくて私は笑って言った。
「ゼス!!
本当に!?
皆も、ゼスも、私にと!?
だったら、もっと私は頑張る!!」
またゼスは僅かに目を閉じた。
「これは…
もう可能性大か…」
目を開けたゼスは急に、また笑い出した。
「くっ。
あははははは!!
ヤベェ…
俺すら…
こんだけ?
驚くのもねぇ!?
あははっ!!
俺が?
スゲェ焦ったとか…
あはははははっ!!
笑えるどころじゃねぇ…
あはははは!!
何だ、それ…
しかも無自覚?
あははははは!!」
私は何を言えば良いかも判らなくなる。
でもゼスは笑いながらも大きく言った。
「大体の予測も出来たぞ!!
まだ理由の全部は判らねぇが。
だが、もうユアナは仮だろうがなぁ。
この盗賊団の一員!!
そして俺が『首領』だ。
当たり前な事だろう!!
ユアナは覚える事も多いが馬鹿じゃねぇ!!
だったら、もう簡単だろ?
そうやって覚えてけば良いだけだ!!」
私は嬉しくて笑って言う。
「はい!!
ゼス!!」
でもゼスは微妙な顔になってから言う。
「だが先にと、また言っとくぞ?
今でも仮入団で?
更に手伝いすらもの状態だ…
先が長いかんなぁ?
急ぐ事もねぇが。
正式にと全く無理!!
でもユアナは学べば良い。
これからだろう?」
凄く私は納得もして頷いた。
それを見てからゼスも笑って言う。
「よし、それなら…
そろそろ、皆も含めて飯の時間もある。
全員じゃねぇが。
交代制でも多く集まっかんなぁ!!
今日だけでもだ!!
皆の方が判る。」
食事で判ると?
私が不思議に思ってると。
ゼスは立ち上がってから笑って言う。
「まぁ、気にすんな。
俺の居るところでユアナは充分だ。
今から行くから着いて来い。」
そう言ってから、また歩き出すゼスにと。
私は笑って言う。
「はい、判りました!!」
そのまま私はゼスの後ろから着いて行く。
**************************
ゼスにと着いて行くと…
かなりの広さがある。
そんな場所にと多い人達が確かに…
既に居た。
また私は驚くけれど。
すぐにゼスが皆にとだった。
笑いながらも大きく言った。
「おぃ、馬鹿共!!
喜べぇ!!
お前ら全員よりなぁ。
とんでもねぇ世間知らずな下っ端以下。
この仮入団馬鹿をだぁ!!
既に知ってるだろうが。
もう僅かで俺は充分過ぎた!!
笑うしかねぇぞぉ!!
正式な入団は俺次第!!
俺が判った事すらあるが…
それは伝達のみで良い。
だが『盗賊団の一員』としろ!!」
そう言うと皆が騒めいた。
そんな中でだった。
「首領!?
そりゃ入団は決定にとの判断かぁ!?」
それにもゼスは笑って大きく言う。
「あぁ、そうだ!!
どんだけかってのをかぁ?
そうだなぁ…
すぐにだ。
お前らも判るぞぉ。」
そう言うとゼスは私を引き寄せた。
それから笑って言ってくる。
「ユアナ。
あそこから水を汲んで来い。」
ゼスは笑いながらも私にと指を示した。
少し私は驚くけれど…
すぐにゼスにと示された方を見る。
あれは…
確か本で読んだ!!
地下水を汲み上げる井戸!?
判ったのが嬉しくて私はゼスに笑った。
「判りました!!
あれは本で知ってます!!」
ゼスが微妙な顔で言った。
「ん?
本でだと?」
私は少しだけ離れた場所にある井戸?
そっちに急いで行って思い出しながらと。
それから私は良く見る。
確か、この桶?
それを落として汲むと。
ここからだと水のある場所は暗くて見えない。
でも一応、仕組みは判る。
そう思ってロープの繋がってる桶を中にと落とす。
水音が私にも聞こえた。
それからロープを引っ張る。
でも…
水が入ってない?
失敗したの?
水音は聞こえたけれど?
もう一度と、やっても同じだった。
私は首を傾げる。
水音がするのに不思議でもある。
井戸の中を見ても暗くて見えない。
私は確認の為にと一応…
ロープを手に持って中を見ようとした時。
「待て、ユアナ?
まさか…」
ゼスの声が僅かに聞こえたけれど。
急にロープが動いた。
それにと私は慌てた。
でも中に落ちる寸前で私の身体がだった。
すぐに引き寄せられた。
私を引き寄せたのはゼスだった。
凄く焦った顔で言った。
「はぁ…
充分、判ったし?
使い方は教えるが…
もう…
危なっかしぃ!!」
また私は失敗したと思って下を向いて言う。
「ごめんなさい、ゼス…
仕組みは知ってるの。
でも…」
怒られると思ったけれど。
「ユアナ。
今から俺がするのを見てろ?」
私はそれでゼスの顔を見ると少し笑ってた。
ゼスは桶を落とすとロープを揺らした。
私と同じ様に引き上げると水があった。
それに私は驚く。
私にとゼスが笑って言う。
「桶を落としても中に水は入らない。
だが、揺らせば桶にと水が入るだけだ。
判ったか?」
すぐに理解した。
だから私も笑って頷いた。
それから同じ様にと。
ゼスがした様にと。
私も揺らしてからと引っ張る。
そうすると水があった。
出来た事に嬉しくなって笑って言う。
「ゼス!!
出来ました!!
それに、また教えてくれたのが嬉しいよ!!
ありがとうございます!!」
ゼスは私の頭だけを撫でて笑った。
「そう…
ユアナは知らないだけだ。
でも今でも一度教えれば…
もう出来るだろう?
確かにユアナは世間知らずだがなぁ…
ただの馬鹿でもないと。
無知なだけだと判った。
学べば更にとだぞ?」
そう言ってからゼスは皆の方に向いて…
笑いながら言った。
「お前らも全部見てたから判るなぁ!!
ただの馬鹿じゃねぇって事だぁ!!
これは単純な答えだが。
知らんだけ。
だが…
予測すら出来ないが相当だぞぉ!?」
その瞬間。
一斉に皆が笑った。
それだけでも、また私は驚く。
皆が…
失敗しても怒らないの?
それに教えてくれるの?
だから皆にと大きく笑って言う。
「私も頑張ります!!
皆さんにと。
これから宜しくお願いします!!」
ゼスが驚いた顔で急に笑い出した。
「あははははは!!
俺にと、また…
お礼…
更にと?
あははははは!!
皆にすら…
あんなに笑って…
くっ。
ヤベェ!!
もう面白いだけでもねぇ…
こんなん笑う!!
あははははは!!」
ゼスが皆の方にと、また笑って言った。
「お前らぁ!!
今まで感謝としてだぞぉ!?
お礼とか…
された事が、あっかぁ?
俺は初めてだったぞ?
あはははは!!
こんなんだけじゃねぇよ!?
充分過ぎる珍品だが。
もう俺の手伝い係決定なぁ?
後、手を出すんじゃねぇぞ!!
俺すら、あり得ねぇぐらい…
危ねぇ世間知らずだかんなぁ!!」
笑ってる皆の方から数人だった。
「首領…
つうか…
今すらっしょ!?
確かに世間知らずどころじゃねぇ…」
「ヤベェ…
首領の方が焦ってたし?
もう笑えるどころじゃねぇな…」
「元ご令嬢の教育担当が首領かよ!?
あははははは!!
これは傑作だ。
もう、それすら笑うし!!」
皆の方にとゼスが大きく言った。
「こんぐらいで笑ってんじゃねぇよ!?
俺はなぁ…
あんな短時間でだぞ!?
どんだけ!?
本人無自覚でと…
ヤベェ事まで、したかんなぁ!!
俺すら危ねぇ!?
驚くどころじゃなかったぞぉ!?
そんなんだから俺も居るが…
お前らも気ぃ付けろ!!
こんの一番下っ端なぁ?
全く予想外な事ばっかだったぁ!!」
私は慌てながらもゼスに言う。
「ゼ、ゼス?
そんなに、してたの?」
微妙な顔をしたゼスは頷きながら言う。
「もう充分過ぎだし?
皆すら理解済み…
俺も居るが。
今日は最低限の生活に使う場所だけなぁ。
それを教えるぐらいかぁ…
はぁ…
とんでもねぇ…」
結局、その後も私がと。
いつもだった。
知る為にと、学ぶ為にと、自分で動けば良いと。
そう考えると、やっぱり…
嬉しいだけだった。
**************************
仮入団から約5日後。
いつも私はゼスと一緒でもある。
一応、言われた事にと私も頑張るけれど。
やっぱりゼスの言う通り…
私は凄く世間知らずだった。
頑張っても、私が失敗しても…
ゼス以外の皆も笑いながら教えてくれる。
人数が多過ぎて、皆の全員。
全部名前が無理でもと。
顔だけでもと覚えたのもある。
私も嬉しくて笑うと皆も…
なぜか笑うだけだった。
そんなゼスも私が出来れば褒めてくれる。
失敗しても怒らずに教えてくれる。
けれど…
ゼスの側で皆と食事をしてた時だった。
多分?
盗賊団の仲間だと思うけれど?
若い男性が走り込んで来た。
「首領!!
やべぇ至急連絡がある!!」
皆すら止まって、すぐにゼスは大きく言った。
「おい、そんだけじゃ判んねぇぞ!!
こんの馬鹿がぁ!!
至急なら内容だろう!!」
でも若い男性は焦りながらも言う。
「いや…
俺も判んねぇ!!
でも何か判んねぇが!?
出入り口の数カ所が塞がってんのかぁ?
こっちからは見えねぇし?
外に確認に行きたくてもなぁ?
近い場所の数カ所は全部だ!!
昨日まで普通だった場所もだぁ!!
何でか、いきなり塞がってる!?
でも数カ所だけ!?
いや?
全部見てねぇから判んねぇが?
いきなりで皆が判んねぇから?
首領に至急連絡しろって!!
そう言われたんだぁ!!」
ゼスは凄く驚いた顔で大きく言った。
「んだとぉ!?
本当に昨日までは使えたのか!!
そこだけで良いから思い出せぇ!!」
若い男性も、どうにか必死に考えてた。
「俺も全部は判んねぇ!!
でも俺が一番使う場所なら…
昨日までは使えてたんだぁ!!」
「もう落ち着け!!
こんの馬鹿がぁ!!」
そう言うとゼスは、また目を閉じた。
口元に右手を当ててから僅かで目を開けた。
「罠くせぇ…
これは更にとか?
場所の特定をしても…」
私は驚きながらもゼスを見てた時に目が合った。
その時にゼスが驚いた顔で言った。
「そうか!!
ユアナがと!!
その為だけにと動いた理由すら…」
不安になって私は聞いた。
「ゼス?
また私が失敗したの?」
ゼスは首を横に振るとハッキリ言った。
「いや、違う!!
ユアナは何もしてない。
俺の予測通りだとしたら…
ユアナは俺からは離れるなよ?」
私は頷くしか出来なかった…
すぐにゼスは皆にと大きく言った。
「全員聞けぇ!!
避難ルート、パターン8だぁ!!
それから合流地点はパターン4!!
更に緊急連絡パターン2だぁ!!」
そう言うと皆が、すぐに動き出した。
それにとゼスも私にと言った。
「よし!!
ユアナも行くぞ。
この場所が特定された可能性大だ!!
一度、皆の避難誘導もあるが…
特にユアナは俺にとだ。」
私は判らないけれど。
でもゼスが言うならと頷く。
それから一緒に移動もする。
そんな中でもゼスは皆に指示を出しながら…
私は必死に着いて行くだけだった。
そして、またゼスは私と数人だけでと…
多分、やっぱり地下だったのか…
外の光が見えて更に出入り口から出た。
そこで私は見た。
アラン兄様?
「チッ。
やはりか…
だが、一人だと?」
ゼスが険しい顔になるのも見た。
その時にリアン兄様の声だけは聞こえた。
「ユアナ。
もう大丈夫だ。」
私は急に何も見えなくなる。
「しばらく…
安心して眠って良い。」
何か香りがした。
これは前の時と同じ…?
凄い眠気に私は襲われる。
「ユアナ!?」
でも…
私は僅かに言った。
「ゼス…」
絶えられずにと、そのまま私は眠った…
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