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厭わない手段を、覚悟を示した行動を。
約3週間後…
私は今日も皆と食事を済ませて後片付けも手伝う。
最近だと出来る様にもなった!!
皆と一緒に作業もするけれど。
必ずゼスは側に居る。
でも私が作業してる時は…
何か他の皆と話してたり?
指示を出してたり?
また書類関係みたいなのを受け取ったり?
やっぱりゼスだけが違う。
それでも私は理由が少し判るのもある。
皆もゼスだからと。
信じられるからと。
安心も出来るからと。
だから、きっと同じで笑うと。
私もゼスは信じられると思う。
そんな片付けも無事に終わると声が聞こえた。
「ユアナ。
終わったかぁ?
もう片付けすら問題ないなぁ。」
すぐにゼスだと判って近付いて笑う。
「ゼス!!
片付けなら大丈夫です!!」
ゼスも笑いながら頭を撫でて言う。
「学んでるのが判るぞ!!
まぁ…
だが、まだ料理は危ねぇからなぁ…
あれは見てらんねぇ…」
ふと私は思い出す。
だから、すぐに言った。
「ゼス!?
まだ一回しか…
私も頑張れば出来るよ!?
どうして皆も…」
ゼスは微妙な顔で言う。
「いんや?
あんな包丁使い…
俺は初めて見たがなぁ…
もう普通に見てらんねぇよ?
単純に怪我するのが確実…」
私は周りの皆を見るけれど…
何も言わずに頷くだけだった。
それでもとゼスに私は言う。
「もっと頑張る!!
やらないと出来ないでしょう?
やってみないと判らないでしょう?」
ゼスは首を横に振って微妙な顔でだった。
「ユアナ?
なら俺は今から教えるぞぉ?」
不思議に思いながら私はゼスを見てると…
「やってからじゃ遅いってぇ事をだぁ!!
良いかぁ?
やって失敗でもなぁ!?
単純に怪我だけ?
そんなんじゃ、何も意味ねぇだろ?
練習方法なら他にもあるってのにかぁ?」
微妙な顔のままでゼスに言われたけれど。
私も考える。
それは…
やってからだと遅いと?
そうなる…?
一応、私も納得して頷くしか出来ない。
ゼスも頷きながら言う。
「判ったなら充分!!
その練習なら後回しで良いし…
まぁ、ユアナは俺の部屋にだ。
このまま着いて来い。」
いつもの様に私は皆にも笑って言う。
「また教えてね!!」
皆も笑って頷いたのを見た。
それから私はゼスにと一緒に移動する。
**************************
ゼスの部屋にと。
一緒に入ってからも毎日が同じだった。
いつも同じだから私でも、すぐに動ける。
「ユアナは、いつも通りなぁ。
俺は報告を読んでからだ。」
「はい、ゼス!!」
それから私は同じ様にと部屋の掃除を。
いつも通りに整理していく。
片付けてる時はゼスも書類みたいなのを読んでた。
私の片付けも終わりそうでゼスを見ると…
まだ読んでるのも判る。
私も何か他に出来ないかとも考えて見てると…
急にゼスが書類を見ながら驚いた様に立ち上がった。
「な…
まさか!?
こんな事まで…」
私も驚くけれど。
ゼスを見てたのもある。
それにゼスが?
焦ってる様にも見えた。
だから私も少し心配になって近付いてから言う。
「ゼ、ゼス?
どうしたの?
何が…」
ゼスが私を見たけれど。
すぐに目を閉じて右手を口元に当てた。
考えてる?
目を開けたゼスは首を横に振ってからだった。
それから複雑な顔で言うけれど…
「また…
これは目的も…」
私は驚く。
いつもと雰囲気も違う?
「ユアナ、俺に着いて来い。
これは至急だ。」
そう言うとゼスは部屋から出る。
それにと私も着いて行くけれど…
ゼス?
何が…
でも、さっきまで食事にと使ってた場所でだった。
交代制でと、一緒に居た皆も多く居た。
急にゼスは大きく言った。
「お前ら聞けぇ!!
これから言う他国を含めてだぁ!!
伝達のみを至急しろ!!
コード2、3、5、12、15、16!!
緊急連絡パターン27と…
更にコード4、9、11、18にもだぁ!!
緊急連絡パターン15で俺にとなぁ!!
それと同時に全員を召集させろ!!」
ゼスが言った事にと。
聞いた皆は凄く驚いた顔をしたけれど。
でも急に皆の目付きだけが変わった。
すぐに全員が動き出した。
誰も居なくなるの?
皆すら、あんな目は…
私は何も言えなかった。
そんな私にとゼスが言ってきた。
「ユアナ。
誰も居ない今なら少し話せるか…」
ゼスは振り向いて私を見るけれど。
複雑な顔をしてるのが判った。
「ゼス?
何が…」
私を見てからゼスは目を閉じたまま言う。
「今のは驚かせただろう。
だが、この予測…
先に言っといた方が…」
そう言うとゼスは目を開けた。
少しだけ笑って私を見てから言ってくる。
「ユアナ?
急で驚かせたが…
今から言う事も凄く大切な事だ。
だから良く覚えてくれるな?」
凄く大切な事と?
私は聞くけれど頷くしか出来ない。
そんな私にとゼスは頭を撫でながら…
少し笑って言う。
「良いか?
俺も勿論、ユアナを、皆を守りたい。
だが、ユアナは知らん。
本当の悪人をだ。」
「本当の悪人を?」
ゼスは声も優しくなって…
私にと笑って言ってくる。
「そうだ。
本当の悪人ってのはなぁ。
どんな手段すらも笑ってする。
俺は多く見て来たから判るが…
ユアナは判らない。
そんな事を俺なら普通だがな。
ユアナにと見せたくもねぇ…」
私は覚える。
どんな手段もと?
笑ってすると?
ゼスなら見せたくもないと?
しっかりと私はゼスを見る。
そんなゼスは私にと少し複雑な顔で言う。
「そうだ…
しっかりと聞いてくれるな?
俺がだ。
どんなに守ろうとしても…
もし、ユアナが俺から離れた場合。
そう言う悪人ってのはなぁ。
必ず笑ってユアナを騙して近付いてくる。
そして誤魔化すんだ。」
騙してと?
誤魔化すと?
でも…
「ゼス?
私はゼスの側にと…」
その時に、また初めてだった。
ゼスから私の頬にと…
手だけを触れてくると笑って言う。
「俺がユアナをだ。
見捨てる事は絶対にない。
それでも何があるかすら判らない事。
だからこそ、今だ。
先にと俺が教える事だ。」
私は素直に言う。
「判った、ゼスを信じる。」
ゼスは嬉しそうに笑って言った。
「これは普通の事だがなぁ。
ユアナに判り易く言うが…
本当にユアナを愛してる者がする行動がある。
それはなぁ。
ユアナに笑ってて欲しいと。
ユアナが楽しそうにする姿をと。
見れるなら充分だと。
そう思ってる者だ。」
私は驚く。
本当に私を愛してる者がと?
私に笑ってて欲しいと?
ゼスは優しく続けて言った。
「そう、ユアナは知らない…
だから必ず騙そうとしてくるだろう。
笑って、優しく、徐々にと嘘を言いながら…
必ずユアナに近付いて誤魔化しながら騙す。
それが本当の悪人だ。
だから外見や言動でと、ユアナ。
騙されるな。
そんな者はなぁ。
絶対にユアナが心から求めてる者でもない。
俺にと言っただろう?
本当に愛する者をと。
それがユアナの本心だった筈だ。」
私は驚くのもあるけれど…
無意識にゼスの頬にと手を伸ばして触れた。
それにもゼスは私に笑って言う。
「ユアナ…
今は何も判らないだろう?
だから…
俺の言葉だけ覚えるんだ。
俺は見せたくはないが…
予測だとユアナは見せられる事になる。」
「見せられる?
ゼスは見せたくないのに…」
ゼスは笑った。
「あぁ、勿論だ!!
俺は見せたかねぇな。
だが、落ち着いて聞いてくれるな?
今のユアナは狙われてるんだ。
だから笑って、騙して、誤魔化して…
必ずユアナにと近付いてくる。」
私は覚える。
狙われてると?
笑って近付いてくると?
「そしてユアナが油断した時にとだ。
そう言う奴等はユアナの身体にと…
最初は笑って騙す。
そして誤魔化してだ。
ユアナをと狙う。
そう言う奴等にと騙されるな。」
ふと私は判らないけれど…
なぜか、お兄様達を思い浮かべた。
「それは…
まさか…」
ゼスは目を閉じて言った。
「今のユアナにとだ。
俺から離してからする行動を…
先にと俺がユアナに教える。
もしユアナを騙して近付くなら…」
ゼスは目を開けると…
初めて見る顔でもあった。
「ユアナにと言う言葉。
それは最初に心配する言葉を。
そして謝罪の言葉を。
それから偽りの自由を。
更に見たくもない悪人をだ。
ユアナに見せてくるだろう。」
私は覚える。
心配する言葉をと?
謝罪の言葉をと?
偽りの自由をと?
見たくない悪人をと?
「そしてユアナ。
もし逃げられなくても…
生きる事だけしてくれ。
そして諦めるな!!」
私は諦めてた…
あの数日間を思い出す。
「ゼス…
それは、やっぱり…」
私は勝手に涙が零れた。
少し複雑な顔でゼスは私の涙を拭って言う。
「俺が今、ユアナに言った言葉。
それを誰にも言わず。
考えるだけで良い。
言えば更に危険になるのはユアナだ。
だから俺の言った言葉は誰にも言うな…
そして忘れるな?
俺も絶対に諦めねぇぞ?
必ずユアナをだ。
俺や皆のところに…
それを…
ずっとユアナは望んでた筈だ。
本当の自由を。
本当に愛する者をだ。
それを探すと。
ユアナ自身が言った事だ。
ユアナの本心だったからこそ出たんだ。」
私はゼスを見て、どうにか言う。
「判った…
諦めない、頑張る…」
ゼスは嬉しそうに笑って言った。
「それで良いぞぉ!!
絶対に諦めるな。
ユアナは馬鹿でもねぇかんなぁ。
もう覚えた筈だな?」
そんなゼスに私も笑って言う。
「はい!!
ゼス!!
ゼスだけは信じる!!」
また、それにとゼスも笑った。
**************************
一方、アランとリアン。
既に準備も済ませ二人の部屋も修繕済みでもある。
更に侯爵邸すらも同じだった。
そして全てが整った部屋の中、最終確認もしていた。
「アラン。
他国の方も含めての問題は?」
「リアン。
全く問題ない。
それに帝国側は?」
二人共に大きなテーブルに広げた地図。
更に各国も含めて膨大にもなる図面もある。
全て広げても問題すらない大きなテーブルの前でだった。
その大きさは既に普段使うベッドよりも大きい。
テーブルの側で地図を確認しながら話し合ってた。
「あぁ、全て済ませた。
後は再確認をだ。
アラン。
もう失敗は出来ない。
だからこそ、もう一度だ。」
アランはリアンの意味にも気付いた。
だからリアンを見て言う。
「リアン、判った。
ならば、再度するぞ。
互いの情報の整理を。
それからの再確認だ。」
リアンも気付いてアランを見て言う。
「そうだな、アラン。
先に情報の整理、それからだ。」
二人は互いの目を合わせてから頷く。
そして二人共が同時に目を閉じた。
アランは目を閉じたまま言う。
「リアン。
俺がした事と判る限りの情報を。
まず先に言う。
父様からの許可は得た。
そしてリアンにも当たり前の伝言がある。
『次の失敗は許さない』と。
『だが先の予防を考えろ』と。
その二つだった。
俺が先に済ませてから行動をした事でもある。
それから他国の全てにと。
情報規制の為に各国全ての王族。
また軍部統括してる者にと接触した。
そして『ゼスの指名手配』をさせた。
更に強化の為、ユアナに関しての情報をだ。
これは『報償金』の形で表に関しては全て処理した。
だが、裏側にも接触はして判った事もある。
かなり複雑な暗号もあった事と連絡手段、情報網。
あれでは完全に表側の人間では不可能だろう。
それで判ったが『ゼス』に関して全てを。
盗賊団ではあるが狙う対象は全て貴族以上のみ。
更に言うならば『金のみ』だろう。
ここからは俺の予測になる。
あの『首領』は裏側すらも完全に纏めてる。
ユアナを狙ったのも最初は『金』が大きかった事だ。
理由は帝国の情報と、他国の情報で異なる事がある。
その異なる点のみを言うならば…
ヤラリス侯爵家のユアナは美貌に関しては似てた。
だが、ユアナが社交場にも出なくなってから長い。
その事で他国の認識が憶測としてズレていた事だった。
それは帝国皇帝の妻としての噂も含まれた事。
既に怒りが湧くが…
だからこそ各国はユアナの情報すらも金になる。
更にだが、もし売るならば各国にも繋がる事。
けれど俺が調べた限り、その情報すらも売られてなかった…
俺の確信にもなったが、あの首領はユアナをだ。
接触した事でヤラリス侯爵家の内情を先にした。
それから保護も含めて裏に、そして側にとだ。
次はリアン。」
リアンも目を閉じたままアランの言葉を。
更に考えながらと言う。
「アラン。
俺がした事と判る限りの情報を。
内容に関しては充分に理解した。
確かに怒りが湧く事だ。
だが、納得もした部分でもある。
似ているが俺は最初、『皇帝陛下から許可』を得た。
帝国全土にと『ゼスの指名手配』もさせた事。
『報償金』としてユアナの情報とさせた事。
それから帝国軍部を含めて捜索規模を拡大したが。
現状でも情報は一切ない。
確実に裏側に居ると、それにも同意する。
帝国の裏側も同じだったが、かなり特殊な暗号があった。
それで表の情報網ならば既に処理した。
けれど表側の情報網のみ。
首領が動かしてるにも関わらずだ。
そこでも情報は一切なかった上に自白すらもしない。
更に裏側には複雑な暗号があった事でだったが…
完全に表側の人間へとは不可能状態な事。
首領に関しても全て同意する。
補足をするならば、その暗号は俺も独自で調べた結果。
避難だけでもなく、行動、場所、連絡、全てが違う。
これだけの複雑な暗号でも明確だろう。
だからこそ裏側は完全に不可能だった。
俺がそれと同時にした事もある。
ここからはユアナに関してにもなるが。
ユアナの自室以外を。
全て『侯爵邸』の内部を変更済みだ。
また使用人すらも変更済みにしている。
補足として出すならば。
ユアナの自室には簡易ベッドのみ追加を。
理由も簡単だが、最初は手を出さず。
俺達は側に居るだけで済む事。
ここからは俺の予測になる。
既に首領がユアナにと。
事前に言ってる可能性だ。
まだ自覚はしてなくても…
かなりの影響はある事だろう。
俺達が僅かにする言動にも細心の注意事項になる。
次はアラン。」
アランも目を閉じたままリアンの言葉を纏める。
冷静にと考えながらと言う。
「リアン。
充分に理解した…
ならば、対策でだが先にある事を。
父様からの伝言にあるが。
『先の予防を考えろ』と。
俺が全てを説明した際にだった…
何かあると予測したからこそ出した事だろう。
確かに既に首領がユアナにとだ。
だが、ここからは俺の予測になる。
首領に思った点だろう。
これだけの頭脳で裏側を纏めてるならば…
どこまでユアナにと事前かを。
可能性としてだが。
最初の策すら甘いと判断されてる。
時間は使うがユアナを取り戻してもだ。
その首領を『危険視』してる事。
ならば最初は罠だけしか不可能でもだ。
本来ならば『始末』したい事でもあるが…
ユアナの前では不可能になる。
だからこその、やはり『予防』だろう。
以上だ。」
リアンも目を閉じたままアランの言葉を纏める。
更に考えながらと言う。
「アラン。
俺も理解した。
確かに、その伝言をならば…
ここからは俺の予測になる。
首領に関しては俺達二人でも可能と。
俺達が判断したが、そこに気付いた事でと。
可能性の指摘、実力を判断された。
ならば、かなり首領の実力がある。
それを含めた予防をする事だ。
帝国軍の総力を使ってでも首領になる。
表は全て、もう俺達でも可能にもなる事。
だが、その後はユアナを取り戻した策しかない。
そして若干、手荒になっても首領の動きを。
確実に止める事を。
以上だ。」
アランも目を閉じたままリアンの言葉を纏める。
納得もしながら更に考えて言う。
「判った。
ならば確認を俺から出す。
そして順次交互でだ。
リアン。
場所の特定は確実だな。
周辺の準備は?」
「アラン。
既に特定済みではある。
周辺も問題ない。
残り日数の調整は?」
「リアン。
それだけで充分だ。
日数も問題ない。
ならばこそ徐々にだ。
全て完了した。」
「アラン。
全て理解した。
ならば最後の時間だけを。
ユアナが出る状況にもなる。
全て完了した。」
「リアン。
あぁ、ようやくだ。
だったら始めるぞ。
残り1週間だ。
以上。」
「アラン。
そうだな、ようやくだ。
二人同時に可能だ。
そしてユアナだろう。
以上だ。」
それから二人共が同時に目を開けた。
互いの目を合わせ、先にアランが言った。
「リアン、やっとだ。
俺達のユアナをと…
あの周辺ならば国境付近。
だからこそ帝国すら問題ない。」
リアンは頷きながらもアランを見る。
「アラン、勿論だ。
あの周辺は各国すらも動かない。
そして帝国軍だけならばこそ。
俺達にはユアナだけで良い…」
アランも頷きながらリアンを見る。
「リアン、軍部の動きにも注意だぞ。
もう首領は動くしかない。
ならばこそ決行しよう。」
「アラン、勿論だ。
あの首領ならばこそだ。
そしてユアナをだろう?」
アランとリアンは目を合わせて頷く。
冷徹にも見える程の目でもあるが…
少し笑った。
二人が思う事は同じでもあった。
そして実行した…
**************************
私はゼスと一緒に居た。
そして徐々にと…
普段、交代制で動いてた筈の皆がだった。
全員集まって…
普段使ってる広場にすら狭いだけの場所にと。
もう驚いてしまう人数になってた。
簡単に数えてられない…
100人以上?
200人近く?
正確に判らないぐらい居る前にと。
そんな皆の前でゼスが大きく怒鳴った。
「全員が集まったなぁ!?
もう既に馬鹿共全員が知ってるだろうがぁ!!
お前ら以上に馬鹿でイカれたクズ共がだぁ!!
どうしようもねぇ。
下らない理由でと…
動き出しやがった!!
確実に俺だけを狙って来てねぇ!!
クソみたいな理由だけで…
他国の全ても巻き込んでだぁ!!
そんなクズ共に俺は負けたりしねぇ!!
お前ら馬鹿共も本気になる事をだと…
俺は先に言うぞ!!」
その場に居る皆が一斉に頭を下げた。
それでもとゼスは大きく言った。
「判ってるなぁ!!
お前らも負けんじゃねぇ!!
必ず全員を俺が絶対にだぁ!!
仲間の誰だろうと見捨てねぇ!!
そんな事は当たり前だと。
俺はずっとだったが…
今回はマジで俺すら怒りしか湧かねぇ!!」
もう私は見てるしか出来なかった。
それでもだった。
皆の方からも大きく声が聞こえる。
「首領!!
俺らは馬鹿でも充分だぁ!!
もう判ってるんだぁ!!」
「首領!!
他国からの緊急連絡も入ってるぞ!!
あり得ねぇ事もしやがったぁ!!」
「首領!!
馬鹿な俺らすら怒りしかねぇ!!
ゼッテェ負けねぇ!!」
「首領!!
もう既にだぁ!!
とんでもねぇクズ共だぁ!!」
「首領!!
俺らが負けるもんかぁ!!
許せる筈ねぇ!!」
その時に私は初めて見た。
ゼスが二つの違う大剣を持って…
それを地面に突き刺してから言った。
「俺が負ける訳ねぇだろうがぁ!!
誰だろうが相手になるがなぁ…
既に報告が入ってるだけで…
ふざけんじゃねぇ!!
だが俺の側に居る事すらも…
危険なのも、お前らにはある!!
だからこそ、覚悟を示せ!!」
その瞬間。
皆が一斉にと武器だけを掲げた。
「良く判ったぞぉ!!
俺の予測ならば…
1週間の勝負になる!!
今からだぁ!!
皆にと俺が全ての指示すら出す!!
常に連絡を怠るなぁ!!」
皆が一斉に武器を、更に頭をまた下げた。
私には判らない。
でも…
私はゼスや皆を心配した…
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