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「えーこのようにですね、わみ達が良く使う「わみ」という一人称は、戦国時代に武士たちが使っていた「我が身」という言葉が、江戸時代に入って平民階級の人達に伝わっていく内に変形して今のわみたちの使う『わみ』という言葉になっていったと言われている、ということですね。
一説では『女当』、つまり今でいうとあなたたちと同じ女子高生が作り上げたとも言われてますね。」
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現代文の授業が終わり、昼の休み時間。わみが弁当を開けようとしていた時に美咲がわみに小突いてきた。
「我が身美咲なり~」
「なにそれ。」
「さっき先生が言ってたじゃん。わみ。我が身。」
「あー、わみが昔は我が身だったってやつ?」
「それそれ。前に歴女のサトちんがさ、自分のこと我が身我が身って言ってたの、そういうあれだったんだね~」
「んー、へー」
わみはお母さんに作ってもらった弁当を、美咲はコンビニで買ったパンを食べながら教室の一角で話していた。
美咲が勝手にわみの弁当の冷凍食品をつまもうとするのを、わみは箸を持ってない方の手で素早くはたいて防ぐ。美咲は下卑た笑いで返してくる。
「毎度かなこちゃんはお母さんに愛されてるねー。美味しそうなお弁当作ってもらっちゃってさ。」
「いやあんたが狙ってたの冷凍食品。」
「いやいやそれだって愛よ。わみなんかコンビニのパンよパン。まぁ~母の愛情にあふれた1000円札でしたこと。」
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