誕生日

8/9
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
順番に野菜を切っていると、 「俺も手伝うよ」 と、その場にはもういないと思っていた俊ちゃんが声をかけてくるから、物凄く吃驚して大袈裟なほどに体がビクッと反応した。 その反応と一緒に跳ねてしまった胸の辺りのエプロンをぎゅっと掴んだ。 「今日は俊ちゃんが主役なんだから座って待ってて」 後ろに立つ俊ちゃんを振り返ってそう言ったけれど、そのときの俊ちゃんの表情があまりにも怪しく微笑んでいるから、無意識に体を引いてしまった。 そんなあたしを見て、俊ちゃんは更に口角を上げる。 「なんか勘違いしてねえ?」 「え」 「俺が手伝うのは、こっちの方」 そう言って、後ろから覆い被さるように抱き付いてきて、エプロンの上から胸を掴んできた。 「ひゃあっ!」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!