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「えっ、やだよっ!」
「今さら何言ってんだよ。陽菜が『好きなもの』って言ったんだろ?」
「そうだけれど……」
だって、こんなことを言われるなんて思っていなかったんだもん。
今日は俊ちゃんの22才の誕生日。
22才の男の人が欲しいものなんて想像すらできず、それなら本人に聞いてしまえと思い、一週間前に聞いてみた。
そのときは「陽菜の全てがほしい」とふざけながらも「んー、今は思い付かねえ。少し考えてもいいか?」と言われたのだ。
誕生日の一週間前だったから、早めに言ってほしいとは思っていたのだけれど、突然言ったあたしも悪いし、こうなったら当日一緒に買いにいけばいいやと思っていたのだ。
けれどまさか、俊ちゃんがあんなことを言い出すなんて思いもしなかった。
……ううん、違う。
俊ちゃんならそういうことを言うかもしれないと、想像できなかったあたしがいけなかったのかもしれない。
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