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「は?どういうことだよ……?」
「わざわざ市村まで新撰組に入れる意味がわからない。此処がどんな場所か分かっているでしょ」
過保護が理由で一緒に入ってきたとしても、常に一緒にいられる訳じゃない。
それに、私が昨日市村を叩きのめした時、その兄とやらは来なかった。
私が殴り飛ばしたところを見ていた筈だ。
あの時はまだみんないた。
「刀もロクに握ったことがない人を此処に入れるなんてただの自殺行為」
「でも、兄ちゃんは……!」
「まぁ、私の勝手な想像でしかないから分からないけど」
私は市村に腕を動かすように言った。
なんとも言えない難しい表情を浮かべていた。
どちらにせよ、警戒するに越したことはない。
その後、休まずに素振りを続けた市村は腕が上がらないようだった。
「じゃあ、続けよう」
私は竹刀を自分でも持ち、市村へ向けた。
顔が引き攣っているのがよく分かる。
でも、私はやめないよ。
ちょっとでも早く、強くなってもらわないと。
私が土方に認めてもらえない。
プルプルと震える腕で竹刀を握り、私に鋒を向ける。
でも、そんな貧弱な腕じゃ私には勝てない。
負けたくないから。
私は誰よりも強くありたい。
必要としてもらうために。
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