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「真白さん、大分此処に慣れてきましたね」
「みんな、いい人」
此処に来て数日が経った。
私は山南さんの元で読み書きを習っている。
午前中のうちは山南さんのところで、午後は土方についていく。
「大分、字も上達してきましたし」
「山南さんのおかげ」
「そうですか。教え甲斐があるというものですよ」
ニコッと笑ってこちらを見る山南さん。
私はこの人に逆らってはいけないことを学んだ。
だから、私はさんを付けて呼ぶ。
「飲み込みが早くて助かります」
「山南さん、教えるの上手」
「褒めてくれるんですか。……今の私にはこのくらいしかできないですからね」
そう言って右腕をさすっていた。
私が来るより前に何かあったらしい。
そして、この人は稽古にも出ていない。
「頑張って覚える」
「はい。頑張りましょうね」
優しく微笑む山南さんに私は頷いた。
そして、私は紙に向き合った。
筆を持ち、ゆっくりと書き出していく。
たくさん、覚えたら褒めてくれるかな。
そんなことを思いながら、私は筆を握っていた。
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