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「お帰りなさい。そんなに血の臭いをさせて何処に行ってたんですか」
「別に、その辺歩いてたら襲われただけだ」
帰ると、玄関で沖田が腕を組んで待っていた。
返り血は浴びなかった筈だけど、沖田は鼻がいいんだろうか。
土方が中へ入っていったから私も中に入ろうとしたら沖田に止められた。
「君はこっち」
そう言って腕を引かれ、井戸の前に連れてこられた。
沖田が井戸から水を汲み上げ、盥に水を入れていた。
何してるんだろう。
「君、その服洗った方がいいよ。血の臭いがこびりついてる」
「……私、これしかない」
「え?」
私の服はこれしかない。
替えもないから多分、土方はそれを見越して今日、買い物に行ってくれたんだろう。
流石の沖田も驚いたのか、うーんと悩むと何か思いついたのか、何処かへ行ってしまった。
そして、一人連れて戻ってきた。
「ねぇ、平助、君の服なら貸してあげられるでしょ」
「いきなり何なんだよ!勝手に連れてきて!」
どうやら藤堂は合意のもとに連れてこられた訳ではないらしい。
ギャーギャー横で騒いでいるが、もう夜も遅くなってきた。
「で、なんなの?」
「だから、君の服貸してあげてよ、この子に」
「ん?真白、服ねぇのか?」
私が頷くと、藤堂は急ぎ何処かへ行った。
そして、すぐに戻ってきた。
「これ、綺麗だから着なよ!もう俺には小さくなってきたからあげる」
「えっ…?でも……」
「え?平助、もう伸びてないんじゃ…」
私が戸惑う横で沖田は藤堂を憐れんだ目で見ていた。
「伸びてんだよ!!じゃ、風邪ひかないようにな!」
そう言って藤堂は私に服を渡していなくなっていった。
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