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「お前に俺は殺せねぇよ」
「…どうして?」
「お前が俺の仲間になるからな」
この人はさっきから何を言っているんだろうか。
私はそもそも一言もこの人の仲間になるなんて言っていない。
なのに、この自信の持ちようは何?
意味がわからない。
「私が貴方の仲間になって、私に何の得があるの」
「そうだな…。お前に名前をつけてやる」
名前…
あれ、とかこれ、とか化け物とかじゃない。
私だけの名前…?
「化け物なのに?」
「化け物じゃねぇよ」
「これを見ても…?」
私は頭巾を取った。
露わになった私の髪はどこかの年寄りのように真っ白な髪と人とは違う紫色の目だ。
土方は少し驚いた様子を見せたが、その辺にいる人達のように化け物とは叫ばなかった。
「綺麗だ」
さっきからこの人は何を訳のわからない事ばかり言うんだろう。
それに、私にはこの言葉を理解出来なかった。
土方へ視線を合わせた。
真っ直ぐに逸らさず、私の目を見てはっきりいった。
多分、この目は、嘘を吐いていない。
そして、化け物と叫ぶ人たちのように恐怖が滲み出ている目でもない。
「決めた。お前は真白。今日から真白だ」
私の目を変わらずに真っ直ぐに見てそう告げた。
「真白、俺と来い」
私はこの真っ直ぐで強い目から目を離せなかった。
そして、私は頷いた。
私は真白…。
今日から、この人についていく。
名前をくれて、私を綺麗と言ってくれたこの人に。
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