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「…何か悪いことした?」
「いや、見抜かれて図星だったんだろ。気にするな」
そう言って私の頭にポンと置いた手が温かく感じた。
そして、とある部屋に入った。
「今日はもう遅いから寝ろ。明日、近藤さんにお前を紹介する」
「わかった。……この頭巾、取らなきゃだめ?」
「近藤さんの前では取れ。別にお前の容姿について何か言う人じゃねぇよ」
私は頷いた。
そして、部屋の隅に行き、刀を私の手の届くすぐそばに置き、座った。
「何してんだ」
私は首を傾げた。
何かおかしいことをしたのかな。
私の寝る場所は部屋の隅で小さくなって寝ることが決まっていた。
だから、いつものように部屋の隅に座ったつもりだった。
気付けば土方は布団をもう一組敷き終わっていた。
「お前はこっちで寝ろ。そんなところにいたら体が冷える」
土方の寝るであろう布団の隣を指差した。
土方を見ると早くしろと言われた。
枕元に刀を置いた。
「あったかい」
「…そうか。火消すぞ」
そう言って火を消し、土方は布団へ入った。
何もかも夢のようだ。
私の容姿を綺麗だと言って、此処へ連れてきてくれた。
そして、暖かい布団をくれた。
しかも、私が寝ていい場所だった。
夢じゃなきゃいいのに…
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