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「兎に角、こいつは仲間だ」
「……わかりました」
どこか納得がいかない顔をしていたが、土方の言うことに従っていた。
「こいつは斎藤一。三番隊隊長だ」
「副長に何かあれば斬る」
「そんなに怖い顔するな。ったく…。まぁ、こいつは強いぞ」
「私より?」
「どうだかな」
私は斎藤の顔をじっと見た。
確かに強そう。
でも、負けない。
「副長、自分はこれで」
そう言って斎藤は去って行った。
「さみぃな。部屋入ってこい」
そう言って土方は先に部屋の中に戻り、布団の中へ入っていた。
私は障子を閉めた。
「これ…どうしたら?」
「ああ、その辺投げておけ」
かけてもらったぶかぶかの羽織を私は畳の上にそっと置いた。
「まだ早い。寝とけ」
「でも…」
「いいから」
私は刀を枕元に置き、少し温もりが残っている布団へ入った。
目が覚めてしまった私はただぼーっと天井を見ていた。
気がつけば隣からは寝息が聞こえる。
私、こんなにしてもらっていいのかな…?
昨日の今日で、いいことばかりしてもらっている。
こんな私に、ここまでやってもらう資格なんてないのに。
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