第一章

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そして、新撰組全員が集まる広間へ通された。 「今日から仲間になる真白だ。副長付きの小姓となる」 「よろしく」 私はそれだけを呟いた。 そして、次に土方が口を開いた。 「お前ら、変な気を起こすんじゃねぇぞ!」 その言葉に私は土方の袖を引いた。 土方はなんだ?と耳を傾けた。 私は小声で口にした。 「何かあれば殺していい?」 土方はその言葉にフッと笑って全員のいる方へ向き直った。 「何かしたらお前ら、殺されるぞ」 そういいながら笑っていたのは土方だけだった。 周りは静まり返り、土方の笑い声だけが響いていた。 ただ、静かながらも私へ向けられている視線はあまりいいものではなかった。 そういえば私、頭巾被ったままだった。 「これで満足?」 私は被っていた頭巾を取った。 露わになった私の髪色と目の色に周りがざわついた。 そりゃ、こんな見た目じゃざわついても仕方ない。 「別嬪さんじゃねぇか!なんで土方さんについてんだよ。俺んとこでもいいだろ」 そう言った大柄の男。 多分、顔がいい方なんだと思う。 茶色の長い髪を下の方で束ねて、私を見てニカッと笑った。 「うるせぇ、左之!……こいつの紹介はこれで終わりだ。さっさと飯を食え!」 そして、周りの人達はご飯を食べ始めた。 私の前にもお膳が出されていた。 ご飯と漬物、味噌汁におかずがあった。 私は横にいた土方を見上げた。 「なんだ?」 「これ、私の?」 「それ以外に何があるんだ」 私はお膳に置かれた箸を持った。 ただ、あまり綺麗には使えない。 箸はバツの形になり、ご飯も上手く掴めない。 味噌汁は熱くて舌が火傷した。 「今度、特訓だな」 「んむ?ふぉいしぃね」 ご飯と漬物を口にいっぱい頬張って話した。 こんなにあったかくて、私だけのご飯は久しぶりだ。
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