エピローグ

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エピローグ

 俺たちが地球に戻って来た時にはもう中央都市は夜で、俺たちは懐かしいサウスエリアへ帰ってきた。  小型船から降りる時俺たちが手を繋いでいたのを見て、サエカたちは嬉しかったのか、二人は上機嫌だった。    この間の出来事がほんの数日の間の事だなんて思えないくらい濃い日々だった。  後から聞いたのだが、沼間たちは俺たちと同じように脱出ポッドに乗り脱出したようだ。  だが沼間をはじめとした数名は大怪我をしたらしく、未だに火星の病院で入院中のことらしい。    沼間の横恋慕は許せないが、それでも俺や琉が暴走するのを長い間食い止めてくれた一端は担っていたわけだし、恐らく琉の覚醒で俺たちはつがいになったので、もう二度と俺たちに手は出せないと思う。  だが、order police corpsとの癒着は問題になりそうだ。一部の幹部と共に地球に戻り次第沼間とは関与してなかった他のorder police corpsに逮捕されるとのことだ。  俺の親たちは俺がそれこそ淫乱になりはしないかと恐れていたことは確かだったようだ。  琉の母体であるナガレは寮である琉の家の前で帰りを待っていてくれた。琉の家で俺たちは話をしたが、色々な事を火星にいるミカサから聞いたのだろう。  会った瞬間彼は涙を流して喜んでくれた。  そして……俺達の日常はまた……。いや、ちょっと今までとは違った形になった。    俺は自分がオメガであることをやっと気持ちと体が受け入れつつある。  大学生になって中央都市にあるオメガが沢山通っている大学へ俺たちは進むことになった。  もちろん、以前不快な思いをさせてしまった奴らに俺は心から謝った。  許してもらおうとなんて思わない。ただ、謝りたかっただけで、後は彼らが俺を許すか許さないかは彼ら次第だ。  そうどんな人でも心は自由だから、判断は彼らに任せることにした。  余談だが、琉に告白しようとしたフロンは見事に振られたようだ。  ミュータントの正体を見せた琉にも臆することはなかったそうだが、(むしろかっこいいと余計惚れてしまったらしい)俺たちがつがいになったということを知り、諦めたそうだ。 (というかいつの間にか琉は好きな時に好きな場所でその姿を変えることができるようになったらしい……俺のピンチの時だけじゃないのかよ!)  フロンはかっこいいとか言ってたくせに、振られた腹いせなのか、ミュータントは怖い。とあちこちの人に言っていたそうだが、俺はもちろんそんな偏見をもったフロンに猛烈に抗議した。  人を見た目で見るなんて何事だって。だってそうじゃないか。人は人種なんて関係ない。どんな種類の人間だって、いや、人間じゃなくって宇宙人だったとしても平等でなきゃいけないと思う。  どんな肌の人間だって、どんな性別どんな種類の生き物だって、そして、琉みたいな新しい人種ともいえるミュータントだって、みんなが幸せになることが一番平和になれることだ。    俺は今琉と人類が平等に生きて行けるように、そういう運動をノースエリアの中央都市大学でやっている。  琉が諦めない限り、俺も諦めない。一人でも多くの偏見者を無くすために……これからも俺たちはずっとこの活動を続けていく。俺がかつてそうだったように、俺が変われたのだからきっと他のみんなも少しでいい変わって行けるはずだと信じて。  俺の中の新しい命が笑顔で暮らせることができるような世の中になるために……。  終わり
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