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「つーか、お前は何か食ったの?」
私はしかめっ面で首を横に振った。
この狭いキッチンで、彼が私の背に密着して冷蔵庫を覗いていると思うだけで、私は必要以上に、ドキドキしてしまう。
背中に伝わる彼の熱に、私の体は熱くなる。
だけど、だから、それを自覚するほどに、私の顔は強張りしかめっ面になる。
彼は私の気持ちに気付いているのか定かではないが、私の顔を見てぷっと笑った。
「出掛ける。準備しろ!」
私の都合なんかお構いなし。
「え、どこに?」
「早くしろ、俺は腹が減ってんの。とりあえず飯食いに行くぞ!」
「私と出掛けるの、嫌じゃないんだ?」
意外すぎて、私は彼の顔を見た。
「あのなぁ…」
彼はそう言って、苦笑した。
「そもそもお前が悪い。俺に連絡先教えないからこうなるんだぞ?だから、さっさと教えろって言ってんの!」
「それは、無理…」
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