そのチャラ男、曖昧な関係。

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 彼は諦めたような顔をして再び溜息を吐いたが、無理強いをするようなことはしなかった。  それから彼に連れられて、部屋を出た。  車には乗らず、歩いて繁華街に向かった。  そして私のアパートからほど近いところにある、ちょっと年季の入ったラーメン屋に入った。  彼は座敷に座ると、店内に貼ってある品書きを見回した。 「生ふたつね!あと、餃子とレバニラ。それから…」  私には何も聞かず、勝手に注文し始めた。  私、飲むなんて一言も言ってないのに。 「この店、何でも旨いんだ。食えば分かるから、騙されたと思って食ってみ?」  彼はおしぼりで手を拭きながら、嬉しそうに笑った。 「あ、美味しい…」  運ばれてきた生ビールは、グラスがキンキンに冷えていてた。  料理も彼の言う通り、美味しかった。 「だろ?ここ旨いんだ。あ、俺、飲んじゃったから、今日、お前んとこ泊まるからな」  私は軽く頷いた。  最初からそのつもりで来たクセに?   飲んじゃったと言うのは、ただの言い訳。  どうせ断ったって泊まっていくんだから、拒否しても意味はないんでしょ?
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