(回想)そのチャラ男、悪魔。

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「キャーッツツツ」  私は恐怖で(おのの)き、靴を履きかけのまま、昇降口の入口の方まで下がった。 「久し振りに一緒に帰ろう」  恐怖で震える私には動じもせず、別れたはずの彼氏は笑顔で近付いてきた。 「無理、近寄らないで!」  私が怒鳴ると、別れたはずの彼氏は急に怒り出した。 「近寄らないでって何?」 「別れるって何で?」 「半年も付き合って来て今更別れるって、意味が分からない」  こんな感じのことを私に訴えるように言い続けていたのだが、私が首を縦に振らないので、最後にはとうとう泣き出した。  別れたはずの彼氏は、何かあると泣けば良いと思ってる節がある。  泣けば許される、どうにかなると思っているのだ。  その行為が、更に私の気持ちを極限まで退かせていることに気付かないのだ。  そして、最後に別れたはずの彼氏は泣きながらこう叫んだ。 「嫌だ、別れたくない。いつもフラれるの俺なんだもん…」  そして、止められないほどに大号泣した。
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