初恋の人

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無事に式を終え、ほっと胸を撫で下ろした結愛は、美智子と共に会場となっていた講堂を後にした。 不意に結愛が美智子に視線を向けると、美智子は結愛に優しい眼差しを向けていた。 校門を出たところで、結愛が足を止めた。 「嘘――」 そこには、スーツ姿の康史が笑顔で立っていた。 「結愛、入学おめでとう。新入生代表の挨拶格好よかったよ!」 みるみるうちに、結愛の表情に喜びの感情が溢れ出した。 「康ちゃん――」 結愛は人目も憚らず康史の胸に飛び込んだ。 「もう……結愛ったら、高校生になったっていうのにちっとも変わらないんだから」 美智子は呆れ顔で続ける。 「結愛? 今日康ちゃん、仕事休んで来てくれたのよ。大阪からわざわざ」 「康ちゃんありがとう!!」 結愛は康史の胸に顎をつけたまま康史の顔を見上げ、にんまり微笑んだ。 それからも、折に触れ康史は赴任先の大阪から駆けつけた。 すぐに飛んできてやる――あれはただの放言ではなかったのだ。
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