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駅に到着すると、笑顔の青年が待っていた。
「お待たせ!」
結愛が息を弾ませ駆け寄った。
「俺も今来たとこだよ。今日の結愛のスカート可愛いじゃん」
「嬉しい! ありがとう」
結愛は照れ笑いを見せた。
「どこ行きたい?」と聞かれた結愛は、「太一君はどこ行きたい?」と聞き返した。
「今日は一ヶ月記念日だから、特別なとこに行こうか」
太一が意味ありげに答えた。
太一とは、三ヶ月前の同窓会での再会をきっかけに、ちょうど一ヶ月前から交際を始めた。
交際を申し込まれた時、太一からは「ゆっくりでいいから好きになってくれたら嬉しい」と言われた。
その気遣いのある言葉に誠実さが窺え、この人なら大丈夫だろう、と思えた結愛は太一との交際に踏み切ったのだった。
もうあの頃の太一とは違っていた。あれから十年以上も経ったのだから。
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