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しかし交際が三ヶ月を過ぎた頃、太一が本性を現し、デートの帰り道に口喧嘩になった。
「待ってよ!」
結愛が太一を追いかけ腕を掴むと、太一はそれを勢いよく振り払った。
「面倒くせーな!」
「浮気なんて酷いよ! 太一君がそんな人だとは思わなかったよ!」
結愛の目には涙が浮かんでいた。
「待ってられなかったんだよ! お前がいつまでたっても拒むから!」
「ゆっくりでいいって言ってくれたじゃない。あれは嘘だったの?」
「うるせーな!」
言うと同時に、太一は結愛の頬めがけて右手を振り払い、吐き捨てるように言った。
「いつまでもガキみたいなこと言ってんじゃねーよ!」
その時、突然パッシングされクラクションが鳴った。
その車はクラクションを鳴らし続けたまま、スピードを落とさず結愛と太一に接近し、すれすれのところで急ブレーキをかけて停車した。
結愛は後ずさりして勢いよく尻餅をついた。
車から降りてきた男は、太一に近付いたかと思うと、いきなり太一の胸ぐらを掴み、殴りかかった。
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