初恋の人

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そんな結愛は、思春期を迎えても相変わらず康史にベッタリで、母親の美智子も首を傾げる程だった。 中学生になった結愛は、その日も仕事帰りの康史をつかまえて勉強を見てもらっていた。 「結愛、康ちゃん仕事で疲れてるんだから、もう終わりにしなさい」と美智子は結愛に言ってから「いつもごめんね」と康史に謝った。 「俺は構いませんよ」と康史が返すと「ほらーぁ」と結愛はにんまりと笑った。   「結愛は小さい時から『康ちゃん康ちゃん』って、俺より康史ばかりに懐いてたからな」 言ってから、結愛の父――春樹は、ガハハハと豪快に笑い、 「康史、晩飯食べて行くんだろ? こっち座って一緒に飲もう。康史はうちの息子も同然だからなあ」 と上機嫌に目を細めた。 「いつもすみません」 康史がお決まりの言葉を口にすると、 「私から幸代さんに電話しとくわ。まあうちで食べても、帰って食べても、今日は同じメニューよ。だって幸代さんと一緒に買い物に行って決めたもん」 と美智子はケラケラ笑った。
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