寝過ぎた

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寝過ぎた

目を覚ますと、真っ白な天井が映った。視界がぼやぼやして、目を擦る。 ここどこだっけ……。 身体を起こそうとするけど起こせない。隣を見ると、しっかりと俺を抱きしめて眠っているまつりがいた。 ……あぁ、そっか。さっきあんなことを……、思い出すだけで顔が熱くなる。 うぁぁーっ、何言ったかあんまり覚えてないけど変な事言ってないよな? …大丈夫…だよな? そういえばどのくらい寝てたんだろ。壁時計を見ると、もう3時を回っていた。 「うわっ、!寝過ぎた…」 授業一時間目しか受けてないし。 なんとなく罪悪感に苛まれる。 ズーンと項垂れながらも、身体を揺すってまつりを起こす。 「まつり、起きて」 「んん〜…」 「まつりー」 「んー…」 「まーつーりー!」 眉間に皺を寄せるまつりの腕から抜け出して、お腹の上に乗る。 そしたらまた引き寄せられて腕を突っ張る。 「もぉ!起きろって!」 怒る俺に、ぶはっ!と吹き出す。 「ごめんね。もっとイチャついてたくて」 まだクスクス笑っているまつりにムッとする。 「そういうのいいって。早く帰ろ」 「本気なのに」 まつりもムッとしながらベッドから出た。 「……あ、」 「ん?」 「そういえば保健室の先生は?」 「あー、そういえば来なかったね」 そういえばって? 「はっ?!おまっ、まつり!確認してないのか?!」 「あははは…」 気まずそうに笑いながら、ふいっと顔を逸らした。 「ばかっ!ホント何やってんだよ!」 「ご、ごめんっ!でも一回も来なかったし…出張とは聞いてたから……ごめん〜、ホント僕も余裕なかったんだって」 「ほんっと……はぁ、もういい」 「怒ってるよね…?」 「そうやな」 「うぅ…ホントごめん」 鞄を持ち上げて、保健室を出る。 ズーンと落ち込んで大人しくなるまつり。 ちょっとやりすぎたかな……。俺もいいよって言ったし……多分。 「まつり」 「ん。なに?」 「今日仕事は?」 「あるよ。番組にでる」 「…そうか。…見る」 ボソッと言うと、凄く嬉しそうに「やったー!」と言った。 「それとさ…」 「ん?」 「ごめん、言いすぎたかも」 「僕もごめんね」 「多分…いいよって言ったと思う」 「あー…うん…」 「何の番組にでる?」 「グループ皆で出るんだけど、恋愛の話するんだって〜」 「へ〜、楽しみにしてる」 「うん!」 今度は凄く楽しそうにするまつりに現金だなと思わずクスッと笑ってしまった。
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