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番組
あの後、門前で別れて、家に帰った。
パパッと着替えて、夕食を食べる。
「いただきます」
なんとなく時計を見ると、七時。
「お母さん、テレビ見ていい?」
「いいよ」
テレビをつけると、丁度始まる所だった。
「っ!待って、バイオレット?!」
お母さんはまつり推しらしい。
「まつりくんホンマ可愛いやんな〜」
「まつりクラスメイトやったで」
「嘘やん!会わせて?」
「うーん、聞いてみる」
またテレビに目をやる。
『今日は、あの人気アイドルグループ、バイオレットに来ていただきましたー!』
きゃー!と観客席から歓声が聞こえる。…もうほぼ悲鳴。
画面には、聞いちゃいまショー!と書かれていた。番組名らしい。
『どうもーっ!リーダーのまつりです!』
『怜です』
『ナツです』
『心でーす!』
よろしくお願いします。と挨拶をしてから席に着く。
「あーっ、ホンマ可愛い」
「まぁ可愛いけどそこまで?」
「アンタには分からへんよな」
「うん」
『突然ですが、皆さん好きな人とかいます?』
まつりにマイクを向けられて、少し照れたように言う。
『います』
「?!嘘やん!」
「おったんか…」
お母さん相変わらずオーバーリアクション。
『えっ!まつりくんいたんですか?』
『はい、今日初めて会ったんですけど…ホント可愛くて』
『一目惚れですね』
『はい、今日色々やりすぎて怒られちゃいました』
クスッと笑うまつり。
けれど、視聴者もキャストもポカーンとしていた。
俺は思わず吹き出した。
今の絶対俺だよな?
うわぁあーっ、なんかすごい気まずい。
『い、色々…って…』
聞くな?!
『あははっ、言いませんよ?でもホントかわいかったです』
あぁー!言うなっ!!
『そ、そうですか』
ものすごく気まずそうにした司会は、怜にマイクを向けた。
『俺はいないっすね』
『じゃあタイプは?』
『可愛くて、守りたくなる子ですかね』
へー、俺守られたい側だから分かんないけど。
『ち、ちなみまつりさんのタイプは?』
『んー、タイプ?服じゅ……可愛い子ですね』
『なるほど!美人な人とかはどうです?』
『僕的には可愛い方が好きです』
『なるほど、ナツさんはどうです?』
この人全然笑わない…。ポーカーフェイスってやつかな。
てか今服従って言いかけたよな?気のせい?…そう思いたい。
『俺恋愛興味ないんで』
そして冷たい。
こんな感じでもアイドルになれるんだ…。
『そうですか。理想とかも全くですか?』
『はい』
淡々とそんな話が続いた。
それからは雑談に入って、凄く盛り上がった。
『んで、まつりすげーテンション高かったんすよ。どした?って聞いても答えねーし初恋が原因だったんすね!』
なんて楽しそうに話していた。
待って、そんな話聞いてない。…まぁ僕のSubってのは聞いたけど。あれ告白なのか?
……てか初恋って?
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