通話

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初恋って?俺が?嘘だ。まつりは可愛いから周りに人が集まる。 だから付き合ってた人が一人や二人いたっておかしくない。 そんなことを悶々と考えていると、いつの間にか番組は終わっていた。 「疲れてるん?めっちゃぼーっとしてたけど」 「…多分。ご馳走様。お風呂行ってくる」 「はーい」 なんでそんなに気にするんだろ。まつりが誰と付き合ってても俺には関係ないのに。  少し苛立ちを覚えながらも、服を脱いでお風呂に入る。体を軽く流してから湯船に浸かる。 音楽を聞こうと、YouTubeを開いたその時、スマホが振動して、画面にはまつりと表示されていた。 ……え、LIME交換した覚えないけど…。 不思議に思いながらも電話に出た。 「もしもし」 『あっ、雪弥!テレビ見てくれた?』 「うん、見たで」 『あれ、標準語じゃないの?』 「家で気ぃ抜けてるから」 『そっか。…で?どうだった?かっこよかった?』 「全然。デレデレしすぎ」 『えぇっ?』 「てかさ、まつりテレビやのに好きな人おるとか言っていいん?アイドルやろ?」 『あっ!ホントだ!うぅー、マネになんか言われるかな…』 やっぱり抜けてる。…今朝会った時もこんな感じだったよな。 『で、でも隠さなかったら炎上しにくいと思うんだけど…。隠すから炎上するんでしょ?素直に付き合ってますーって言えばいいのにね。』 「言っても炎上する時はする。けど、隠してたらやましいことあるみたいやん?だからちゃう?知らんけど。…まぁ後はファン減らしたくなくて隠すってのもあるんちゃう?」 『僕は気にしないよ。…マネに怒られるのはイヤだけど。…僕に好きな人がいるのを知って離れていくのは本当のファンじゃない。僕が不倫してたとかなら仕方ないけど』 俺的にはみんなのアイドルなんだからアイドルらしくいて欲しいと思う。 「……そ。俺体洗うから切るな?」 『えっ?!待って。今お風呂なの?』 「うん…?」 『見せて』 「あほっ、ホンマに切るで」 『Commandの出番か…』 「もう!そんなとこに使わんでいいねん!」 『え?そこ以外どこで使うの?』 「…分からへん」 『ホントのホントにダメ?』 「うん…って、それよりさ」 『ん?』 「LIME交換した覚えないんやけど?」 『あー、雪弥がイって寝た後勝手にしちゃった。ごめんね?』 「イっ……うん」 イったとかストレートに言われると恥ずかしい。 『ねぇ、まだ通話しよ?』 寂しそうな声で言われる。 可愛い…。そんなの狡い。 「変なこと言わへんねやったら」 『やったー!』 これのどこがDomなんだか。やれやれとため息をつく。 『ね、カメラは?』 「…あんま見ぃひんって約束できる?」 『えっ、見たいからカメラつけるのに?』 「……」 『まぁ努力はするよ』 まつりの言葉は信用ならないと思いつつもカメラをオンにした。
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