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出るのか?引きこもり
元警察庁祓魔課のウォーゲーム 異世界戦争勃発?編
全く、実に下らんな。
アースツーの伝説の魔王、本名新井田一魔は、自作したPCで、ヤッフーニュースをダラダラと見て呟いた。
ロシアがウクライナに侵攻?別に驚かんな。
あれだ、要するにプーティンって馬鹿は、ドローンだの超音速ミサイルがある時代に生まれてしまった皇帝ピョートルみたいな馬鹿だろうが。
だが、今入ったこの情報は正しいのか?
普通に考えたら有り得ん。兄ちゃんが、チェルノボーグなんぞに敗北するのか?
日本の防衛大臣、スウェーデンで拘束。ロシア大統領、兵器密輸の容疑で。
ホントか?よくあるスポニチ的なフカシ記事じゃないのか?
盟友であるジョナサン・エルネスト王が見守る中、拘束されて消息を絶った勘解由小路防衛大臣の安否確認が急がれている。だと?
一魔は立ち上がり、ノックして入ってきたのは、執政官のマイルズ・フォートゲルトだった。
「魔王様」
「話は聞いている。あの馬鹿が、神と喧嘩して捕まったのだろう。全く、あのにーー議員は何をやっているのだ?日本の政治家が、紛争地域をズカズカ闊歩してどうする?」
嫁も子もいてこのザマか。
「いかがいたしましょう?既にニチイ同盟国のアカデミー国王は、王宮に神殺しの銃を取りに戻った次第」
まあ、解る話だった。
兄ちゃんが、自ずから作製したというマジックアイテム(邪器だと?中2兄貴が)を下賜したのは聞いてはいる。
だが、勇者が動いてどうにかなるのか?
あの時、兄ちゃんの横に勇者はいた。
本来、隠れてナンボな暗殺者が、陽中に炙り出されていた。
チェルノボーグはあれはあれで神だ。小賢しい人間の動向くらいは把握しているはずだ。
「マイルズ、少し下がれ」
「プレステ5はメンテナンス中ですが」
「やかましい!アースワンの神がトラブルに巻き込まれている状況で、ゲームなんぞにこの魔王が現を抜かすと思うか?!」
「前に、アカデミー王が王妃以下愛妾殿達に寄ってたかってボコられていた時、同じように私を下がらせ、魔王様は怠惰界を攻略していらっしゃいましたな?」
「しょうがないだろおおおおおう?!あれ面倒臭いんだ!ダークおじさんに会ったあと、ひたすら凶鳥だの蛇竜だのを相手にせんとならぬのだ!」
「前に、向こうのハデス議員は、そういう時こそハッグやエルフの集団と仲良くなっておけと。お陰で合体剣が作りやすかったと」
「いいから出てけよおおおおおおう!私はホントに1人黙考するんだって!嘘じゃないぞ?!」
出ていったマイルズの尻を拝んでから、魔王は1人考えた。
っていうか、兄ちゃんまだやってたのかIFを。
吸い出したエミュレーターでなくて。
まあいい。俺が茉莉から得た情報と世界情勢、全ての知性を総動員して、俺が倒してやろう。チェルノボーグを。
今に見てろおおおおおおおおお!!兄ちゃんには負けないからなあああああああああああああああ!!
一魔は、思考の海をゆっくりと沈んでいった。
異世界転生し、伝説の魔王になったが相変わらず引きこもっている男が、兄のトラブルにどう割って入るのか。現状解る人間はいなかった。
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