囚人仲間

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囚人仲間

チェルノボーグに飲み込まれた勘解由小路は、先ほど押し込まれた牢獄とは、別の牢に捨てられた。 「流石に考慮したわよ?私を受け入れるまで、また飲みに来るわね」 そりゃあご丁寧だな。 先ほどの牢とは違い、そこまで劣悪ではなかった。 ただ、恐ろしく暗い牢だった。 ただなあ。ベッドくらいあってもいいだろう。 「おおーい。ベッドくらいはだな」 ギシリ。ベッドの軋む音がした。 ああまあ。あるにはあったのか。 飴と鞭の使い分けが、少し堂に入ってるな。さっきのはベッドすらなかったんだが。 気が付けば、湯気の昇ったボルシチが置かれていた。 右手が飛んで、左手は麻痺してるな相変わらず。 犬みたいに食うのはなあ。と思っていると、 先客が、想像以上の犬食いを披露していた。 バシャバシャと汁を撒き散らし、器を舐め回し、大きな放屁までかましていた。 まあ俺もおっさんだし、うっかり屁をこくくらいしたことあるよ?マコマコに双子が出来てからはあんまりしないけどさ。 「なあ?酒ないか?」 格子に顔と手を突っ込んだ、けったいな髭面のじじいの姿が闇の中に見えた。 203高地(映画)にうじゃうじゃいたなこういうの。 「あん?ウォッカの小瓶なら、確か捕まる前に懐に入れといたんだが。ん?」 何かが、勘解由小路の懐から、酒瓶を抜き取っていった。 「うおおおおおおおおっしゃああああああああああああ!!久しぶりの酒だああああああああああああああ!!酒が飲める酒が飲める酒が飲めるぞー!酒が飲める飲めるぞー!」 囚人の先客が、日本全国(にっぽんぜんこく)酒飲み音頭を歌っていた。 とりあえず、発音におかしな点はなかった。 「酒が飲めるぞー。ああそうか。チェルノボーグがここまで力を付けていたんで、お前は何してると思ったが、とっくに捕まっていたんだな?ご機嫌で何よりだ。なあ?」 ベロボーグ。勘解由小路は言い、チェルノボーグのアンチテーゼである光の白神、ベロボーグは、小瓶を呷ってご機嫌だった。
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