ご挨拶が遅れてすみません。

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ご挨拶が遅れてすみません。

「お疲れ様でした。失礼します」 定時で仕事を終え、更衣室で制服から私服に着替える。私はこの時間が好きなので制服のある仕事で良かったといつも思う。 fruit élégant(フリュイ エレガン)Tokyoでウェディングプランナーとして働き始めて3年が経った。4年目の今、後輩の担当した結婚式にアシスタントとしてサポートに入ることもあり、今日はその日だった。 一見華やかそうに見えるウエディングプランナーという仕事だけれど、実際は縁の下の力持ちといったところだ。制服は黒スーツで、アクセサリーも最低限。指輪、ネイルはドレスに引っかかるため原則禁止、ネックレスやイヤリングも極力控える。その‘黒子’に私は満足している。 何百、何千の選択肢の中から、おふたりにぴったりのウェディングをプロデュースする。ひとつの会場だけでなく様々なスタイルの会場で結婚式をプロデュースできるようになった現在、毎日がとても楽しい。 ここfruit élégant(フリュイ エレガン)Tokyoは少し面白いところがある。出勤、退勤の際、レストランなどのホテル入店店舗従業員は裏口の従業員専用出入口を必ず使用するが、私のようなホテル直属の従業員は裏口の従業員専用出入口の使用と併せて、ホテル内を通ってエントランスから出入りすることも推奨されている。そこには、自分の担当業務以外にもホテルを見つめるようにという意図がある。
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